喰いタン2第三話

日本テレビ系。土曜ドラマ喰いタン2 KUI-TAN 2」。第三話。
原作:寺沢大介(「イブニング」連載/講談社)。脚本:伴一彦。音楽:小西康陽。主題歌:トリオ・ザ・シャキーン「愛しのナポリタン」(ジャニーズ・エンタテイメント)。プロデューサー:次屋尚&山本由緒。協力プロデューサー:(アベクカンパニー)和田豊彦&井下倫子。制作協力:アベクカンパニー。演出:中島悟(アベクカンパニー)。
先週の第二話が主に一軒の「家」の内と外のみを舞台にした小さな「ホームドラマ」だったのに対し今週の第三話に登場したのはアフリカ辺にあると思しい富裕の王国、エルミナ国の唯一の王位継承者、シケタ王子(三四郎)。彼は、かつて日本に滞在した父王と結ばれて彼を生んだ実の母に会うため一人で密かに来日したが、そのことを嗅ぎ付けた反乱分子は、日本において王子を抹殺することを企てた。これは王子が己の身分を隠し一般の旅行者に身をやつしているからこそ可能な企てに他ならなかったが、この事件をさらに厄介にしたのは、神奈川県警横浜みなと警察署に来てシケタ王子の捜索を山内崇署長(伊東四郎)に依頼したエルミナ国領事館員レイモンド(クレメント)が当の反乱分子の一味だったことだ。王子を探すため来日した二人の近臣は王子の忠臣だったが、二人の忠臣から王子の失踪について協力を要請された領事のレイモンドは実は反乱分子で、そしてそのことに王子も気付いてはいなかったのだ。ともかくも、石油産出国として富裕をほしいままにする王国における王位継承問題をめぐるクーデター未遂事件という国際的なドラマが、小さな「ホームドラマ」の地平上に成立してしまうのが面白い。
緒方桃警部(京野ことみ)と五十嵐修稔刑事(佐野史郎)にとっての解決すべき事件はエルミナ国の王子をクーデター派から無事に保護することにあったが、他方、「ホームズ・エージェンシー」食いしん坊探偵KUI-TAN高野聖也(東山紀之)と出水京子(市川実日子)、野田涼介(森田剛)にとっての解決すべき事件は、シケタ王子の思い出の味、豚の角煮を作る店を探し出し、彼の実の母(あめくみちこ)を見付け出すことにあった。そのあたりがこのドラマには相応しい。当の豚の角煮は実は豚ではなく、豆腐嫌いだった幼少時のシケタ=「タケシ」に豆腐を食わせるため、湯葉で作ったモドキ料理だった。喰いタンの推理が発揮されたのはその点についてだったのだ。そのあたりが、いかにも、このドラマには相応しい。
エルミナ国でクーデターを実行しようとしていた反乱分子の三人組に対する高野聖也&野田涼介の戦闘では、両名が踊るように互いに身体を組み合わせつつ、聖也が涼介を武器のようにして振り回した。涼介役の森田剛が小柄であることを活かした面白い戦い方だった。