日記

午後、JR松山駅を発して川之江駅へ。四国中央市かわのえ高原ふるさと館で明日まで開催中の「水の風景-藍石・秋泉山水画展」を鑑賞した。三好藍石は幕末の徳島に生まれ、川之江の三好家に養子として入り、実業家として、さらには政治家として活動したが、のち画道に専念し明治期の大坂や京都で文人画家として活動した。シカゴ万国博覧会へ出品するため制作された傑作《大日本帝国讃岐小豆島寒霞渓秋景之図》は四国中央市の蔵品。同館で開催中の展覧会にはそれは出ていなかったが、個人蔵の力作が多く並んでいて実に見応えがあった。幕末明治の伊予国文人画家と云えば、松山三津浜の天野方壺、森田樵眠、今治の沖冠岳、八幡浜の野田青石、宇摩の続木君樵、村上鏑邨、川之江の三好藍石が挙げられるだろうが、実際に彼等の作品をまとめて見る機会は決して多くはない。今回その一人である三好藍石の作品群を、門人の渋谷秋泉(藍渓)の作品群と併せて数多く見ることができて、誠によい勉強になった。
閉館時間をかなり過ぎて館を出て、歩いて駅前の商店街へ。祭か土曜夜市か何かの準備中のようだった。商店街の脇の公園には伊藤五百亀作ブロンズ像があった。《プールサイド》と題された青年の裸体の坐像。この彫刻家は裸の青年を好んで作るが、どれを見ても体付きや顔立ちが似ていて、それが作家としての個性にもなっている。六時前に川之江駅に到着したが、松山行の特急には間に合わなかったので駅前の食堂で遅めの昼食と暫くの休憩。六時半頃に川之江を発して八時頃に松山へ戻り、今夏最後の土曜夜市で賑わう大街道を通り、串揚げ店に寄って帰宅した。