民営化で誰が得をするのか

今夏七月に刊行された平凡社新書、石井陽一著『民営化で誰が得をするのか-国際比較で考える』(2007年)は極めて興味深いが、もし二三年前に刊行されていたら「抵抗勢力」扱いをされていたに相違ない。興味ある指摘は多かったが、中でも印象深かったのは「財務省の主計官が純粋に査定した数字が予算化していれば、郵貯不良債権もそんなに出ないであろうが、政治的圧力で数字がゆがめられると、不良債権が発生する可能性があることは想像に難くない」(p.77)という指摘。道路公団民営化を推進した連中の「机上の空論」振りも実に酷いものだったことが判り、深く納得させられた。所詮、ノンフィクション作家なんてその程度だろう。

民営化で誰が得をするのか―国際比較で考える (平凡社新書)