水曜ドラマ働きマン第二話

日本テレビ系。水曜ドラマ「働きマン」。
原作:安野モヨコ。脚本:吉田智子。主題歌:UVERworld浮世CROSSING」。演出:南雲聖一。第二話。
野川由実(釈由美子)が松方弘子(菅野美穂)に与えた「ブツカルのではなくカワス」という言は、仕事の現場における社会人の振る舞い方について、実に深い真理を表現し得ていると思う。かわすよりは思い切り衝突した方が気分はスッキリできるかもしれないが、仕事を上手く進めることには必ずしも繋がらない。常に締切日を決められ、制限の中で動かなければならない職業人にとっては、有効か否か定かではない道よりは無難に危険を回避できる可能性の高い道こそが選ばれなければならないはずだ。松方弘子は、仕事の只中には女を捨てて「男」になると評され、ゆえに「働きマン」と呼ばれるわけだが、実のところ「男社会」における世渡りの知恵をこれまで全く知ろうともしなかったという意味では、全然「男」ではなかったと云える。「女を武器にしている」と陰口を叩かれてきた野川由実の方が、男社会における生きる道をも弁えて、男以上の男と女以上の女を兼ね備えていたとさえ云える。
山城新二(吉沢悠)の、職業選択時、就職時の志と、現状との間の隔たりへの嘆きと諦めには生々しさがあり、考えさせられる。就職した直後にその職業に失望するというのは単なる若気の至りに過ぎないが、他方、夢と現実との差に愕然としつつも夢を捨てることなく粘り強く勤勉に働き続けて十年も十数年も経た者が、抱き続けてきた夢が近付くどころか遠ざかるばかりであることに気付いて、己の力量と年齢の限界を自覚し始めるというのは、恐らくは稀代の天才でもない限り大人には免れることのできない宿命のようなものなのだろう。