仮面ライダー電王第四十四話

テレビ朝日系「仮面ライダー電王」。柴粼貴行演出。第四十四回「決意のシングルアクション」。
野上良太郎佐藤健)とともに戦い続けてきたモモタロス(声:関俊彦)とウラタロス(声:遊佐浩二)とキンタロス(声:てらそままさき)とリュウタロス(声:鈴村健一)。しかし良太郎の戦いが勝利に終わり成就した暁には彼等イマジンは悉く消滅せざるを得ないという真理が明かされた。彼等を大切な友と思う良太郎は、彼等を消滅させるための戦いに彼等の力を借りるわけにはゆかないと思い、しかし戦いを止めるわけにはゆかないから、彼等の力を借りることなく一人で戦いたいと云った。この解決しようもない難問は結局、良太郎とモモタロスとの体当たりのケンカの末に真の友情を確認し合うという殆ど青春ドラマによくあるような形で解消され、彼等イマジンと良太郎はどこまでも共闘してゆくことを誓い合った。
それを見届けた桜井侑斗(中村優一)の脇には、キングライナー駅長(石丸謙二郎)のグッズをテンコ盛りに抱えたデネブ(声:大塚芳忠)。駅長の顔写真を印刷した駅長Tシャツを着たデネブはそれを侑斗にも着せようとして、恥ずかしがる侑斗が怒って反発するという結末。さらにそのあとには、分岐点としての侑斗の影響力を考えるに際してどうやらこれまで良太郎の記憶の欠損のあることを見落としていたらしいと気付いたカイ(石黒英雄)の狂ったような不気味な笑い。陽と陰と二種の場面で締め括られた今朝の第四十四話ではあったが、結果としては、良太郎の問題が未だ充分には出てきていないことを確認したに留まったとも云える。
今朝の主題だったモモタロス等イマジンの消滅という問題は、確かに良太郎にとって深刻だったには相違ないが、これまで数ヶ月間にわたり描かれてきた侑斗の悲劇性が、(悲劇とは、英雄が己自身の行為に起因する事件からの結果として、己の破滅の必然であることを知るものであるという古代ギリシア詩学における定義そのままに)古典的=模範的なまでの英雄性を示しているのに比較すると明白に物足りない。しかし恐らく良太郎が主人公であることの意味は失われた記憶の認知において露呈するのだろう。