旅行記四/湯島聖堂と六本木美術館

朝十時までにホテルを退出すべきところ三十分間も遅れてしまった。ホテルに対し恐縮。御徒町駅から電車に乗ったが、わずか一駅、秋葉原駅で降りた。そこから徒歩で湯島聖堂へ。しかし門を入ったところ工事中で奥へは進めない。大成殿には行けないのか?と思いつつ、聖堂を管理する財団法人斯文会の事務所へ入り、展覧会『湯島聖堂と江戸時代』と筑波大学共催展覧会『草創期の湯島聖堂』の図録二冊と絵葉書八枚組を購入した序でに聞いてみたところ、西門からなら入れるとのことで、地図までも頂戴した。有り難いこと。こうして漸く湯島聖堂大成殿を拝観することを得た。しかし土曜・日曜・祝日に行けば聖堂の中も拝見できるようだ。今度また来よう。
湯島聖堂をあとにして地下鉄を乗り継ぎ乃木坂の六本木国立新美術館へ。現在開催中の「横山大観展」を見物。大正十二年の画巻「生生流転」の前には大群衆が集まっていた。竹橋の東京国立近代美術館の常設展にそれが出ていても、大して注目されもしないのに。首都圏在住の美術愛好家は国立近代美術館や国立博物館の常設展にもっと注目した方がよいと思う。凄いものが(まるで空気のように)さり気なく出ているものなのだ。
国立新美術館を出たあとサントリー美術館にも行こうかと思っていたが、場内の大混雑が予想されたので諦めて空港への移動を開始。夜七時半頃には帰宅し得た。小島毅足利義満 消された日本国王』を読み終えたが、色々な意味で面白かった。