エジソンの母第九話

TBS系。金曜ドラマエジソンの母」。
原案:山口雅俊。脚本:大森美香。音楽:遠藤浩二。製作:ドリマックス・テレビジョン&TBS。第九話。演出:大森美香
世間で話題の「モンスターペアレント」と私たちとは違う!と信じて疑わないモンスターペアレンツの青柳美月(杉田かおる)。
ついに牙を剥いて差別的な思想を表明した美月と、それに抵抗した加賀見祐子(松下由樹)との間の、初めての正面衝突が凄まじく激しかったが、久保裕樹(細田よしひこ)が評した通り、確かに子どもの喧嘩のようでもあった。
青柳美月の差別的な言動が厳しく非難されるべきであるのは確かだが、反面、抜けた歯の入ったカレーを食えるか?と改めて訊かれると「食いたくない」と応えざるを得ないのは正直なところだ。好きでもない人の歯だから嫌だとか不衛生な人の歯だから嫌だとか云うのではなく、誰の歯であっても嫌だというのが本当の気持ちではないのかと思う。しかし今回、当のカレーというのが授業参観のような学校行事の一環として子どもたちと父兄たち皆で食うため皆で作ったものであること、その量も並大抵ではなく捨てるには勿体無いことが話を難しくした。ともあれ、問題の歯が選りにも選って美月の後頭部に発見されたことで事無きを得て、実によかった。最も平和な解決だ。発見した花房賢人(清水優哉)の観察力と視力は素晴らしい。
この一年間で学んだことを発表しようという授業で花房賢人がこれまでの(先週までの八話で描かれてきた)数々の事件を通して学び取ったことを延々解説してみせる場面には見応えがあった。物理学や自然史、法学や社会問題に至るまで幅広く勉強してきたのだ。しかも、それら全てをあれだけ明晰に言説化して明快に語り聞かせるというのは、大人にもとても真似できない。
美浦博之(谷原章介)が准教授として勤める大学大学院の学生たちの中で眼の強い特徴的な人を演じているのは、細田よしひこと同じ芸能事務所に属している加藤康起だ。先週か先々週だったか漸く気付いた。