仮面ライダーキバ第七話

テレビ朝日系。「仮面ライダーキバ」。井上敏樹脚本。田粼竜太演出。第七回「讃歌-三ツ星闇のフルコース」。
名護啓介(加藤慶祐PureBOYS])と麻生恵(柳沢なな)との抗争は、何時しか紅渡(瀬戸康史D-BOYS])を何れが味方にできるかの争いと化している。そして麻生恵に親愛の情を抱きつつ名護啓介に憧れている紅渡は、人はなぜ喧嘩をするのか?と悩みつつ、何とか二人には仲よくして欲しいと考えている。所謂「わたしのためにあらそわないで」状態。
麻生恵から、デート(…に見せかけて実は潜入捜査への協力の依頼に過ぎない…と見せかけて実は恐らくデートをも兼ねていたとも思われるデート)に誘われて嬉しそうだった紅渡を、横取りして己の味方に留めておくべく「渡君!」と声をかけた名護啓介は、「よい感じだな、君は。顔が生き生きと輝いている。」と賞賛した。だが、紅渡の「顔が生き生きと輝いて」いたのは名護啓介に声をかけられたからで、それを認めて名護は「よい感じだな」と感じたのだ。要するに紅渡への賞賛は実は名護自身への賞賛に過ぎない。実にナルシスティクで、変態的と云える。
名護啓介が、紅渡を自らの作戦に協力させて麻生恵からのデートの誘いを断らせたのは、紅渡と麻生恵との仲を進展させないようにすると同時に、紅渡を何時までも己の配下に留めておくための、一石二鳥の作戦だったと云うことができるだろう。
他方、その二十二年前。相変わらず麻生ゆり(高橋優)を口説くことに情熱的な紅音也(武田航平PureBOYS])。珈琲マニア次狼(松田賢二)の護衛という指令を遂行していた麻生ゆりを何とか振り向かせるべく妙な手品を披露してみせた紅音也。紙の鎖を口から延々出し続けるあの手品は「8時だヨ!全員集合」において志村けんが披露していた口から万国旗を延々出し続ける手品を想起させる。紅音也も多分、幼少期にはテレヴィドリフターズ番組を見て育ったのではないだろうか。「今日も眼が離せないぜ!紅音也!」と云いながら、紙の鎖を丸めた中からハトを出していて、楽しそうだった。