旅行記三

連休の前半の三日目。というか正確には飛び石連休の間の有給休暇一日。旅行記三。
昨日までの二日間は大いに動き回ったので、流石に疲れていた所為か、今朝は午前中ホテルに籠っていた。昼からは外出。阪急電車で梅田から三宮へ。神戸市立博物館で開催中の「ルーヴル美術館展-フランス宮廷の美」を観照。展示品は一点を除いて全てルーヴル美術館の蔵品でも、その内容は皆フランス禁裏がヴェルサイユに置かれていた時代のその禁裏の文化を伝えるもので、事実上ヴェルサイユ展と称してもよいだろう。実際、館内の売店にも「ベルサイユのばら」関連のグッズが売られていたし、「ベルばらKidsが案内するフランス宮廷の美」という子供向け図録までも作成され、販売されていた。宝塚歌劇団の文化圏であることを物語る。ちなみにその図録のイラストを手がけたのは池田理代子先生。凄い。
今回出品中の名品と云えば、ロココ絵画の巨匠フランソワ・ブーシェによる肖像画の傑作「ポンパドゥール侯爵夫人の肖像」だろうが、展示品の大多数を占める家具調度類の華美な光輝には魅了されるし、ルイ十五世時代の曲線的な装飾性からルイ十六世時代の直線的な簡潔性への大きな変化も視覚的にたどることを得る。また、名著「法の精神」で知られる啓蒙主義の哲学者モンテスキュー男爵が「ペルシャ人の手紙」において揶揄したような当時の貴婦人たちの奇想天外な風俗(モード)についても、同時代の史料としての版画によって見ることができて、実に楽しい。
展示室を出たところで日本語版の展覧会図録とフランス語版の図録とベルばら図録の三冊を購入した。その売り場の店員が丁度そのとき交代してきた人だったのだが、見れば絶世の美青年だったので驚愕した。商店街を少し歩き回ったあと阪急三宮駅から梅田へ戻り、駅の近くにある喫茶店のチョコレイト・ケーキで暫し休憩。一旦ホテルへ帰って荷物を置いて、夕食のため外出。書店で三冊ばかり買い物もした。