炎神戦隊ゴーオンジャー第十二話

テレビ朝日東映)「炎神戦隊ゴーオンジャー」。
第十二話「走輔バンキ!?」。宮下準一脚本。竹本昇監督。
蛮機族ガイアークが今回派遣したのは発電機の化け物ハツデンバンキ。彼の出現したとき、その現場に駆け付けたのは、何時になく風邪で寝込んでしまっていたゴーオンレッド江角走輔(古原靖久)一人。他の四人が直ぐには来ない中で孤軍奮闘したが、ハツデンバンキの招き寄せた落雷の衝撃で両名の身体は入れ替わった。否、魂が入れ替わったのか。ともかくも走輔がハツデンバンキで、ハツデンバンキが走輔で…という状態。まるで大林宣彦の映画「転校生」(「おれがあいつであいつがおれで」)の如し。
結果として両名は敵地に潜入できる状態と化した。走輔になり済ましたハツデンバンキは、ゴーオンジャーの居住空間で風邪のフリをして寝ながら攻撃の機会を窺っていたところ、ゴーオンブルー香坂連(片岡信和)からは風邪の薬として変な料理を食わされそうになり、ゴーオングリーン城範人(碓井将大)からは葱と味噌を使った民間療法を施されそうになり、ゴーオンイエロー楼山早輝(逢沢りな)からはなぜかアロマを薦められ、挙句、ゴーオンブラック石原軍平(海老澤健次)からは乾布摩擦をさせられそうになっていた。傑作だったのは、彼等からの指示に走輔の姿形をしたハツデンバンキが蛮機獣の何時もの癖で「かしこまり!」と応答していたところ。走輔なら「マッハで」と云うべきところを「ビッカビカに」と云ってしまうところも。走輔(の姿をしたハツデンバンキ)の邪悪な表情が面白かった。
同じ頃、ハツデンバンキになり済まして蛮機族ガイアークの居城「ヘルガイユ宮殿」に潜入した走輔は、主君の害地大臣ヨゴシュタイン(声:梁田清之)から新たに開発した武器を与えられ、世間に害悪をもたらすよう命じられながらも逆にその武器に雷を落として破壊し、「マッハで命中だぜ!」。蛮機獣であれば「かしこまり!」と云うべく、ハツデンバンキなら「ビッカビカに」と云うべきところをつい「マッハで」と云っていた。ハツデンバンキ(の姿をした走輔)の言動が一々鬱陶しいまでに熱い走輔そのものだったのが面白かった。
ハツデンバンキの姿形をした走輔とヨゴシュタイン大臣の許に、戻ってきた走輔の姿形をしたハツデンバンキと、そこへ駆け付けたゴーオンジャー。本来の姿に戻りたい両名が互いに「マッハで返せ!」「ビッカビカに出てけ!」と言い争っていたのも傑作だった。両名が元の姿に戻ったあと、走輔の風邪がハツデンバンキに感染し、逆に走輔は全快していた。あと、範人が軍平の乾布摩擦を「裸で変なダンスを踊っていた」と形容したのも凄い表現だった。