おせん第三話

日本テレビ系。ドラマ「おせん」。
原作：きくち正太。脚本：神ひとえ。音楽：菅野祐悟。協力プロデューサー：山口雅俊（ヒント）。プロデューサー：櫨山裕子＆三上絵里子／内山雅博（オフィスクレッシェンド）。制作協力：オフィスクレッシェンド。演出：久保田充。第三話。
このドラマの主人公は半田仙（蒼井優）、次いで江崎ヨシ夫（内博貴）であるから、この二人をめぐる出来事として話は始まり、結ばれる。しかし今宵の第三話に関する限り、話の土台を提供し展開を推進し解決への鍵を握ったのは全て、料亭「壱升庵」における遠い過去の、一つの未解決の出来事の中にこそあった。そこの先代の女将だった半田千代（由紀さおり）と、かつてそこの板長だったタコ引きの竜（西村雅彦）と、同じとき竜の弟子としてそこで修業していたものの、当の出来事を機に板長となって現在に至る藤城清二（杉本哲太）の、三人それぞれの、その過去の出来事をめぐる苦しい思いが話の全てだったと云ってよい。半田仙や江崎ヨシ夫は今回その話に立ち会ったに過ぎない。でも、よい話だったと思う。西村雅彦の芝居を「よい」と思ったのは久し振りのことだ。
長谷川健太（奥村知史）の、リストラ断行に起因する会社の崩壊過程に関する説は、簡潔で解り易かったが、説得力もあった。リストラをはじめとする「構造改革」を断行して業績を伸ばした会社なんて実際あるのだろうか。