絶対彼氏第四話

フジテレビ系。ドラマ「絶対彼氏-完全無欠の恋人ロボット」。
原作:渡瀬悠宇絶対彼氏。フィギュアなDARLING」。脚本:文島礼。主題歌:絢香「おかえり」。音楽:福島祐子&audio highs。企画:金井卓也。原案協力:山岡秀雄&山縣裕児&新川早織(小学館)。プロデューサー:橋本芙美。制作:フジテレビ&共同テレビ。演出:佐藤源太。第四話。
恋人ロボット「理想の彼氏」天城ナイト(速水もこみち)の、設定変更に関する設定は、それがあること自体が商品としては重大な欠陥ではないだろうか。なぜなら商品である以上は金銭によって所有権が売買されるわけだが、些細な操作によって起動されるその設定変更は所有権の事実上の移行をも惹起するのだからだ。だが、それは(ドラマ内で描かれることがなさそうであるという意味では)所詮ドラマ外の問題に過ぎない。
ドラマ内部の問題としては、むしろその設定変更によって変更される設定の範囲こそが気にかかるところだ。前回、井沢梨衣子(相武紗季)の同僚、伊藤美加(上野なつひ)が図らずもナイトの設定を変更してしまい、ナイトの新たな「恋」の対象に設定されてしまった。しかるに恋人に対するナイトの行動の仕方を決定する設定は全て、本来の所有者であるはずの、梨衣子が選択した設定のままだったのだ。さて、そうであれば変更されるのは、あくまでも梨衣子(或いは他の誰か)との「出会い」のあとに、云わば後天的に蓄積されたデータのみであると解するしかないだろう。梨衣子が「理想の彼氏」の条件として選択した諸条件は「出会い」よりも前の設定であり、基本設定として云わば先天的に本体の一部を構成しているわけなのだ。だから「初期化」と「再起動」を経たのちにも変更されることがない。なるほど明快だ。
これに関して想定せざるを得ないのは、美加との「出会い」による設定変更のあと、ナイトが美加の梨衣子に対する感情を正確に読み取って己の新たな設定に加えた可能性だ。そうでなければ梨衣子に対するナイトのあの嫌な接し方を解することができない。梨衣子の恋人だった頃のナイトは基本的に誰にでも優しかったのに、美加の恋人になったあとのナイトはどうして梨衣子に対してあんなにも冷たかったのか。美加が内心それを望んでいるのを正確に読み取ったからであるとしか云いようがない。
美加は、梨衣子からナイトを略奪しようと画策していたのと同時並行して別の女からも恋人を略奪しようとしていたらしい。その相手の男子を演じたのは中村昌也だったようだ。D-BOYSの一員で、同じD-BOYS中村優一の一歳上で二三年の後輩。なかなか普通に男前に見えた。