炎神戦隊ゴーオンジャー第十五話

東映炎神戦隊ゴーオンジャー」。
第十五話「炎神ストール」。武上純希脚本。中澤祥次郎監督。
害地大臣ヨゴシュタイン(声:梁田清之)の忠実な配下、害地副大臣ヒラメキメデス(声:中井和哉)が登場。炎神たちにとっては苦手な相手で、彼の出現が炎神たちを怯えさせて戦意を喪失させたことから今回のゴーオンジャーは苦戦を強いられた。そこに空を飛行する炎神のようなもの二体が現れた。物語が新たな展開を迎えつつあるのは明白で、ゆえに今回は先週までの前向きな明るさは抑えられていた。この新展開の行方を見守ってゆこう。
ともかくも炎神たちの怯えによって全体として沈んだ雰囲気だった今回の話の中で、皆を救ったのはゴーオンレッド江角走輔(古原靖久)の熱さだった。ヒラメキメデスに対する怯えの理由について「すまない相棒。だが、俺たちには勝てない」「あいつだけは特別だ」と云って謝った炎神スピードル(声:浪川大輔)に対し彼は叫んだ。「俺だって特別だ!俺だって一番だ。おまえだって一番だ」。この熱さが炎神たちとゴーオンジャー皆の表情を変えた。ゴーオンジャー内でも彼以外の四人には賢くて物分りのよいところがあるのに対し、彼だけは決して賢くはなくて鈍感で頑固だが、そうした揺るぎない真直ぐな心のみが世界を変えることもあるのだ。
面白いのは、彼らのこうした粘り強い闘志を、あの害水大臣ケガレシア(及川奈央)が早くに予感していたことだ。蛮機族ガイアークの居城ヘルガイユ宮殿に参着したヒラメキメデスをヨゴシュタインが喜んで受け容れたのに対し、ケガレシアも害気大臣キタネイダス(声:真殿光昭)も冷ややかだったのは、何時もの云わば省庁間の争闘である以上に、永らく姿を眩ましていた者への疑念もあったからだろうが、それにしてもヒラメキメデスの力の強さを絶賛するヨゴシュタインに対してケガレシアが「しかし、奴等は意外とシブトイでおじゃる」と言い放ったのは、ゴーオンジャーに間近に接した者ならではの直観であると云えるだろう。
ところで、今回一番笑えた箇所は、ヒラメキメデスの名をゴーオンジャーがなかなか正しく云えなくて流石のヒラメキメデスも落ち込んでいた場面。走輔は「ヒラメ・スキデス」、ゴーオングリーン城範人(碓井将大)は「ヒラ・キメキメデス」、ゴーオンブラック石原軍平(海老澤健次)は「ヒラメキデスメ」、ゴーオンイエロー楼山早輝(逢沢りな)は「ヒラメキスデス」と云い間違え、それぞれを聞く度にヒラメキメデスは落ち込んでいた。最後にゴーオンブルー香坂連(片岡信和)が「ヒラメキメデス」とズバリ正解を云ってヒラメキメデスは喜び、他の四人は尊敬の眼差しを向けていた。