絶対彼氏第七話

フジテレビ系。ドラマ「絶対彼氏-完全無欠の恋人ロボット」。
原作:渡瀬悠宇絶対彼氏。フィギュアなDARLING」。脚本:二瓶遵平。主題歌:絢香「おかえり」。音楽:福島祐子&audio highs。制作:フジテレビ&共同テレビ。演出:佐藤源太。第七話。
恋人ロボット「理想の彼氏」天城ナイト(速水もこみち)が、今宵は初めて、執事の類ではなく本当に恋人らしく見えた。井沢梨衣子(相武紗季)にとってもそうだったろう。二人は初めて真に恋人らしく見えた。もはや家電製品と使用者の関係ではないと見受ける。
それにしても、浅元創志(水嶋ヒロ)のあの重大な「失言」をどう見るのがよいだろうか。もちろん彼自身の本来の意図においてあれは失言になるはずはなく、失言と受け取られかねない言と化したのは想定の範囲を超え出た偶然の事態でしかなかった。彼は実は梨衣子の作る菓子を素人の水準に留まると見ていたのだ…と梨衣子が誤解してしまったのは、あの状況にあっては必然ではあったが、二重の意において早合点でもあった。なぜなら(一)創志は菓子を作る仕事に関して己と梨衣子とを一と考えていて、梨衣子の限界はむしろ己の限界であり、その意味で素人の水準に留まるのを、あくまでも己自身のことと受け止めていると解されるし、同時に(二)あの「失言」のあとに何か続きがあったのは明白で、恐らくは「素人ならではの自然の感覚と発想と技に賭けてみたい」とか、そういった意味の言が続くはずではなかったかと推察されるのだからだ。
そうであれば、仮に創志の言が最後まで述べられてさえいれば梨衣子が傷付くことはなかったはずだが、生憎、他ならぬ梨衣子の出現は彼の言を中断させ、意図の全貌が現れ得なかったことが誤解を招いた。まさか、あのときの会話を梨衣子が盗み聞いていようとは創志には思いも寄らないことだったに相違ないという事情も、見落としてはならないだろう。