絶対彼氏第十話

フジテレビ系。ドラマ「絶対彼氏-完全無欠の恋人ロボット」。
原作:渡瀬悠宇絶対彼氏。フィギュアなDARLING」。脚本:根津理香。主題歌:絢香「おかえり」。音楽:福島祐子&audio highs。制作:フジテレビ&共同テレビ。演出:佐藤源太。第十話。
大手の洋菓子店ASAMOTO副社長の浅元将志(中村俊介)は、部下に命じて井沢梨衣子(相武紗季)を解雇した。その意図は、パティシエとして修業させるべくフランスへ留学させ、ゆくゆくは自社の専属パティシエとして迎えようと考えたからだった。そのことはまた、自ら追放した弟の浅元創志(水嶋ヒロ)を復帰させるための契機を作ることにもなるだろう。彼は合理主義者の仮面を被った大度量の人物だ。こんなにも器の大きな人物の弟がどうして創志みたいなガキに育ったのかは謎でさえある。
恋人ロボット「理想の彼氏」天城ナイト(速水もこみち)に関する梨衣子の悩みについて考えるにあたり、西洋の古い鑑戒「ヘラクレスの選択」を持ち出すのは、多分、このドラマを批判することにしかならないのだろうとは思う。天城ナイトは今や単なる家電ではなくなった!と製作者の並切岳(佐々木蔵之介)は云ったが、確かに単なる家電とは云い難くなったとしても、家電であること自体を止めたわけでもないだろう。眼前の家電に対する一時の愛着のために自身の生涯にわたる夢を諦めることが善美なる選択であるとはとても思えない。このドラマ、一体どう決着を付けるつもりだろうか。