伊予西条の観光

日曜だと云うのに何時になく朝早くに目を覚ました。十時から約一時間スポーツクラブで鍛えたあと、昼三時二十分頃にJR松山駅を発して伊予西条へ。西条市立郷土博物館へ行き、江戸時代後期に制作されたらしい西条陣屋の広敷御殿の桜之間の戸襖の絵を観照。八重桜が描かれていて、その作者は小林良起であると伝えられているとのこと。西条松平家の画師と云われる小林西台の父で、明治期に活躍した南北派の画家の小林朴宇の祖父。
同じ館内には、昭和期の文展日展で活躍した彫刻家、伊藤五百亀の制作した見事な青年裸体像もあった。題名は「時」。ブロンズ鋳造ではなく石膏の原型であるので、青年男子の身体の美に対する作者の審美眼と思想が一段とよく伝えられているに相違ない。しかも、石膏の像に漆を塗って仕上げてあるので、鈍くも濃厚な黒の光沢があり、フォルムの美をさらに際立たせている。所謂「純粋」な彫刻としての評価は兎も角、少なくとも青年男子の全裸像の表現としては、今までに見た伊藤五百亀作品の中で一番よい。
西条市立郷土博物館に隣接してある愛媛民芸館をも観照。JR伊予西条駅へ向かうの途上、西条市役所の前にも伊藤五百亀の彫刻があるのを見出した。もちろんブロンズ鋳造された作品。「潮洗」と題する堂々とした青年男子裸体像。ただし「時」や「旦」とは違い、全裸像ではない。不図思うに、全裸でモデルになってくれる男子というのは当時なかなか得がたい存在だったのではないだろうか…等と俗なことばかり考えてしまうのはよくないだろうか。
伊予西条駅に着いてみれば、松山駅へ行く特急便に乗るには一時間も待つ必要があった。そこで近所のコンヴィニでオニギリ二個買って食ったあと、駅に隣接する観光交流センターの西条太鼓台展示と十河信二記念館と四国鉄道文化館を見学。楽しめたが、時間がなくて急ぎ足の見学に終わった。