炎神戦隊ゴーオンジャー

東映炎神戦隊ゴーオンジャー」。
第二十四話「最初ノエガオ」。古怒田健志脚本。渡辺勝也監督。
害地副大臣ヒラメキメデス改めデタラメデス(声:中井和哉)を倒したゴーオンジャー五人衆、束の間の夏休みということなのか、ドライヴを楽しみ、天神の森へ。ゴーオンイエロー楼山早輝(逢沢りな)は森の中で謎の少年を見出した。どこかで見覚えのあるその少年は、その森に住んでいる精霊(清水優哉)だった。かつてその森で迷子になったことのある幼時の早輝は、今と全く変わらない姿をしたその少年に助けられ、「スマイル」を絶やさないことこそが勇気の源泉であることをも教わった。今日の早輝を支えて最強の武器ともなっている「スマイル満開」の精神はそのとき生まれたのだ。ちなみの森の精霊を演じた清水優哉は今年の一月から三月にかけて放送された「エジソンの母」で堂々主人公の花房賢人を演じた子役に他ならない。
さて、同じ頃、他の四人衆は森の内外で幽霊、化け物に次々遭遇していた。ゴーオンレッド江角走輔(古原靖久)は眼だけしかないオバケの大群に襲われ、しかも驚いた弾みで眼の一つに直に手を触れてしまい、かなり気持ち悪がっていた。ゴーオングリーン城範人(碓井将大)とゴーオンブラック石原軍平(海老澤健次)のコンビは、円山応挙風の典型的な白装束の幽霊に遭遇。幽霊の仕業で動かなくなっていたキャンピングカー「ギンジロー号」の点検をしていたゴーオンブルー香坂連(片岡信和)は、鴉の大群に気付き、車外へ出たところで巨大な黒猫に遭遇し、ギンジロー号の中に逃げ込まずに何故か森の中へ逃走。車内にいたはずのボンパー(声:中川亜紀子)は置いてきぼりになっていたわけだが、それどころではなかったのか。
恐れ戦き逃げ惑っていた四人衆は森の中で合流。不図見ればゴーオンゴールド須塔大翔(徳山秀典)とゴーオンシルバー須塔美羽(杉本有美)の後姿。後姿を見せている時点で充分に怪しかったが、仲間が来てくれたと思い込んだ四人衆は「この森にはオバケが出る」と声をかけ、「あなたたちが見たオバケというのは、こんな顔かね?」と云いながら振り向いたゴーオンウイングス両名は実はノッペラボウ。小泉八雲のムジナの如し。
これで再び驚いた四人衆は走って逃げようとしたところで今度は本物のゴーオンウイングス両名に遭遇。オバケに怯える四人衆に対し両名とも冷静だったが、その背後には幽霊の大群が出現していた。それに気付かされた両名とも、流石にゴーオンジャー四人衆のようには顔を崩して悲鳴を上げることこそなかったものの、四人衆と一緒に逃走するとき、大翔の手足の動きが変なことになっていた。右手と右足、左手と左足が一緒に動いたような感じで。流石のゴーオンウイングスも幽霊やオバケには弱いのか。
これらオバケの軍勢を率いていたのはヒラメキメデスの幽霊。名付けてウラメシメデスと云う。機械なのに幽霊。決め台詞は「ポク・ポク・チーン!ウラメシマシテゴザイマス」。「ポク、ポク」というのはもともとが頓知の一休さん所縁の禅宗寺院における木魚の音を擬した語だったわけなので丁度よい。ウラメシメデスに誘われてサムライワールドから来た「伐鬼」とウラメシメデスが一体化し、あたかも産業革命後の蛮機獣のように巨大化したとき、ヘルガイユ宮殿内でそれを見ていた害水大臣ケガレシア(及川奈央)は「はて、面妖な」と驚いていたが、確かにあの姿は不気味で「面妖」だった。
結局、ウラメシメデスも清めの塩の攻撃を受けて成仏した。悪い奴をも成仏させるとは鎌倉新仏教的な。ガイアークの居城ヘルガイユ宮殿内でも、害地大臣ヨゴシュタイン(声:梁田清之)は、かつて自らが腹心としてヒラメキメデスを抜擢した際に信頼の徴として授けた剣「ハカリバー」に酒(日本酒)を注ぎながら、「ヒラメキメデス、最期までよくぞ、吾とガイアークのために…、安らかに眠る也」「ポク・ポク・チーン」と供養をしていた。間違いなく極楽浄土へ往けることだろう。誠に夏の、盂蘭盆会の季節に相応しい今朝の話だった。