北京五輪の男子体操個人における冨田洋之

今日の昼に行われた北京五輪の男子体操個人総合の、NHK総合における生放送を録画しておいたのを編集しながら見た。
見て、改めて冨田洋之選手に感動した。英雄的だったと形容したい。顔も少年漫画の中にでも出てきそうな戦士風の感じではあるが、それ以上に、表情も変えず黙って戦い続ける姿が英雄的だったと思う。
今日の大会では吊り輪において事故としか云いようのない予想外の異変があって、その直後の、床の上に暫し呆然と座り込んでいた彼の様子は、テレヴィで見ていても痛ましくて辛かったし、氷で肩を冷して痛みを何とか抑えようとしていた様子も痛々しかったが、そのあとの各種目では徐々に何時もの調子を取り戻し得て、黙々と淡々と、しかし力強く美しい演技を展開して、やがては九位、そして最終的には四位にまで追い上げていた。しかし競技の間も激痛は癒えてはいなかったろうし、動揺もなかったはずがない。凄まじい精神力だと思う。銅メダルに達しなかったのは無念には違いないが、四位入賞という成果を心から賞賛せざるを得ない。
内村航平選手は輝かしかったし、銀メダル受賞は本当に喜ばしかったが、今日は流石に、冨田洋之選手の静かな闘志に見入ってしまった。