正義の味方第七話

日本テレビ系。水曜ドラマ「正義の味方」
原作:聖千秋集英社)。脚本:旺季志ずか。音楽:小西康陽。プロデュース:次屋尚。制作協力:アベクカンパニー。演出:中島悟。第七話。
五輪の中継放送か何かの所為か殆ど二時間近くも遅れての放送。ここまで時間が狂うと見る気がなくなるし、何よりも生活のリズムが狂う。とはいえドラマそのものは面白かった。
学園のアイドル岡本陸(本郷奏多)が中田容子(志田未来)の前に現れたとき、流れた音楽はチェンバロによる優美なロココ風。陸のテーマ曲として作曲されたものなのだろうが、美し台高等学校における王子様ということをよく表している。
他方、容子の幼馴染みの隣人、「ジャンボ」こと小森太一(入江甚儀)は相変わらず神出鬼没で、今回はカラオケ店の店員として出現。料理を運んできた彼に容子はその料理の分け前をやる代わりに代金を少しマケて欲しいと交渉したが、ジャンボは「ぼくは買収されたりしないから」と却下した。少しムキになったような云い方が何時もながら面白い。しかもこの言は、彼自身の意図を超えて、良川直紀(向井理)の母に買収されていた容子の隠れた悪行をあたかも告発するかのように響いたのだ。
それにしても、良川直紀の母、里美(山口いずみ)と槇子(山田優)との間の嫁姑抗争を見る限り、槙子よりも里美こそが悪魔か鬼かと見えてくる。特に、直紀と槙子の新婚の居室のインテリアを里美が両名の留守中に勝手に模様替えした件については、それを強引に原状に復した槙子の反撃をこそ痛快に感じたと云わざるを得ない。直紀のような若い男子にとっては殺風景なまでに洒落た居室こそ最も落ち着ける空間であるはずで、それを中年女性の好みの装飾に変えるのは、槙子への攻撃である前にむしろ直紀への嫌がらせにしかなっていない。そのあたりのところを里美と克夫(平泉成)の夫妻に多少は思い知らせ、また延いては直紀の弟の弘志(田島亮)にまでも好影響を与え得ることに繋がったとすれば、やはり槙子は「正義の味方」と形容されるに相応しい。
意外に正論を云うこともある槙子とは逆に、健気で弱気であるかに見えて悪知恵も働く容子。見た目とは異なる二人姉妹の本性は、以前から少しは見えてはいたが、それが次第に明確化してきたところが実に面白かった。