伊丹十三記念館

四連休の三日目。午前中は寝ていた。昼一時頃から約一時間スポーツクラブで鍛えたあと、三時頃に再び外出。雨降る中、道後温泉駅から伊予鉄道の電車で松山市駅を経て伊予立花駅へ。そこからタクシーに乗り、東石井にある伊丹十三記念館を訪ねた。四時半頃の入館だったろう。
伊丹十三記念館が創設されて既に一年半は経ったろうか。吾、この間一度も訪れたことがなく今日が初めての見学だったが、実に興味深かった。伊丹十三という人物について俳優出身の映画監督ということしか知らなかった者にとって、この博物館の展示によって知る余りにも多彩な活動の数々は驚くべきものだった。彼の父である伊丹万作が既に映画監督としての顔のほかに画家としても活動していたわけだが、伊丹十三の画家としての表現力にはさらに驚かされる。小学生のとき描いたという水泳遠足の絵は傑作と評せざるを得ない。長じてのち一時期はイラストレイターとしても活動していたらしいが、当時の作品は、絵に添えられた言葉の面白さが絵の味わいと見事に調和している。テレヴィのドキュメンタリー番組「遠くへ行きたい」に出演しながらその制作にも関与した経験がのちの映画監督としての活動にも重要な影響を与えたようだが、展示室内では当時のその番組を抜粋したものを見ることができて、それが異様に面白かった。伊丹十三の活躍していた昭和四十年代のテレヴィ番組というのは今とは比較にならない位に面白かったということだろうか。伊丹十三の制作と主演による一六タルトのCMも展示室内で見ることができる。このように展示だけ見ても楽しめるが、それに劣らず価値があるのは館内にあるカフェ。店内には伊丹十三渡辺謙等を描いた絵や伊丹万作の絵が展示されている。ここで珈琲とともにチョコレイトケーキを注文したところ、このケーキが実は記念館の建物の外観を模してデザインされた名物。美味だったし、窓の外には中庭とそれを取り囲んでいる回廊の景色が見えて、かなり寛げる空間だった。職員の方々の接客も完璧というか、とても親切だった。伊丹十三記念館は多分、道後ぎやまんの庭と並んで、県内で最も楽しめる博物館であると評価してよいのではないかと思った。館を出る前に書籍「伊丹十三記念館ガイドブック」とDVD「13の顔を持つ男」を購入した。このDVDは、この館でしか購入できないとのこと。往年のテレヴィ番組「遠くへ行きたい」や数々のテレヴィCMも収録されているので価値が高い。伊丹十三の映画を観たことも殆どなく興味もないような人々(吾もその一人)でも、充分に楽しめて色々発見のある充実した博物館だった。
夕方六時の閉館時間の少し前に館を出て、周辺を少しだけ散歩してみた。吾かつて就職に伴い松山に初めて移転した頃、この辺に居住していたのだ。色々懐かしかった。そこから大街道まで歩き、千舟町の定食屋ゆう源で夕食を取ってから帰宅した。帰宅後はフジテレビ系「タモリボキャブラ天国」十周年記念の「大復活祭」特別番組を途中から見た。見終えたあと録画したものを最初から見直した。