スクラップ・ティーチャー最終話

日本テレビ系。土曜ドラマ「スクラップ・ティーチャー 教師再生」。
脚本:江頭美智留。音楽:吉川慶&Audio Highs。主題歌:Hey!Say!JUMP「真夜中のシャドーボーイ」。プロデューサー:櫨山裕子&内山雅博。制作協力:オフィスクレッシェンド。演出:南雲聖一。第九話=最終回。
率直に云えば、強引な面の目立つ最終回だったと云わざるを得ない。杉虎之助(上地雄輔)に対する松尾悟史(向井理)のこれまでの酷い仕打の数々は「心配」のゆえの行為として納得できる範囲を超えていたろう。どんな凄まじい悪意を秘めているのか?と色々想像させるに足る非道の程だったと思われる。しかるに真相は、彼の父親が実は杉先生によく似た熱血教師で、常に生徒たちのために行動する余り己自身をも己の家族をも顧みることがなく、結局、生徒たちへの思いの深さのゆえに自殺を選んで終わった生涯だったことへの悔しさから、その正反対の教師であろうとしたということだったらしいのだ。だが、これに関して生じる疑問は、彼の父親の自殺は、彼が中学校教師として就職したあとだったのか、それよりも前のことだったのか?という点だ。前者であれば、彼はもともと父親と同じく熱血教師であろうとしたものの、父の死という事件を機に豹変したということになるが、この場合、彼もまた父と同じく、己自身は無論のこと己の家族をも顧みない人生を送ろうとしていたことになる。他方、後者であれば彼は何のために教師なんかになったのか理解し難いことになる。松尾先生の人物像を、まさか最終回に至って見失うことになるとは思わなかった。
ともあれ、杉先生と久坂秀三郎(中島裕翔)との間の特別な信頼関係は最後まで揺らぐことがなくて、見ていて心地よく安心できた。
高杉東一(山田涼介)に対する久坂の特別な友愛の情は、様々な場面で常に真剣な対立を繰り返しながらも同じ目的のためにともに戦い続けてきた最高の同志に対する云わば戦友への愛に他ならない。
鉄道と(なぜか)高杉を愛する土屋大輔(新井大輔)は、本気で高杉を愛していたようだ。この失恋のあと、よい出会いがあったろうか。
高杉と吉田栄太郎(知念侑李)と入江杉蔵(有岡大貴)は去ったが、「君たちはどこから来たの?未来?過去?」という久坂の質問には答えなかった。謎は解かれないまま終わったが、それが正解であると思う。最終回こそ物足りない面が多かったものの、全九話のドラマ全体としては、意義深い問題提起を含んだ良作ではなかったかと思う。