月九イノセントラヴ第九話

フジテレビ系。月九ドラマ「イノセント・ラヴ」。
脚本:浅野妙子。音楽:菅野祐悟MAYUKO。主題歌:宇多田ヒカル「Eternally-Drama Mix-」。プロデュース:中野利幸。演出:松山博昭。第九話。
長崎殉也(北川悠仁[ゆず])に対する瀬川昴(成宮寛貴)の関係は、秋山佳音(堀北真希)に対する秋山耀司(福士誠治)の関係によく似ている。なぜなら二人とも、それぞれの愛する人のために己の人生を犠牲にしようとしているからだ。だが、佳音は今回、兄の思いに気付いたが、殉也は今なお、昴の思いに気付く気配もない。佳音の兄の耀司は、佳音に真実を告げたあと自ら生命を絶とうとしたが、恐らくは昴が遠野聖花(内田有紀)に対して「一緒に遠くへ行こうか?」と語りかけたのも、自ら生命を絶つことの決意ではないだろうか。殉也と聖花と昴の数々の思い出の写真を載せたアルバムを殉也から預けられ、そして佳音と結婚することを殉也から告げられたとき、昴は、愛する人の幸福のために全てを犠牲にする自己の人生がその目的を達成したことを感じたに相違ないからだ。
殉也は極めて罪深い男だと思う。人形のような状態を脱して、もはや己の手に負えなくなった女を昴に一方的に押し付けたのみか、今や忌まわしい思い出の記録としか思えなくなった写真アルバムまでも昴に押し付けて、それで己のみは別の女と結婚して幸福になろうとしているからだ。殉也にとって昴は人生のゴミ捨て場なのか。昴の幸福がどこにあるかを、殉也は一瞬でも考えたことがあるのだろうか。次週の最終回には殉也に天罰が下ることをこそ待望せざるを得ない。