炎神戦隊ゴーオンジャーGP47

東映炎神戦隊ゴーオンジャー」。
第四十七話「内閣カイゾウ」。武上純希脚本。諸田敏監督。
蛮機族ガイアークの最高実力者と思しい総裏大臣ヨゴシマクリタイン(声:梁田清之)と危官房長官チラカソーネ(声:島田敏)が、人間界に接する居城ヘルガイユ宮殿に合流した。
ヨゴシマクリタインは害地大臣ヨゴシュタイン(声:梁田清之)の父であるとのこと。だが、ヨゴシュタインは既に男爵に叙爵されて独立した一家を構えていたわけだから、恐らくはヨゴシマクリタインの長子ではなく、一門中の分家にあたる男爵家に養子として入ったのだろうと推察される。云わば大名家の次男以下の者が親戚の旗本の家に養子として入るようなものだ。
この総裏大臣と危官房長官の出現に、害気大臣キタネイダス(声:真殿光昭)も害水大臣ケガレシア(及川奈央)も驚いていた。彼等の存在をこれまで全く知らなかったらしい。そしてケガレシアは「わらわたち、意外と下っ端でおじゃるのね」と落ち込んでいた。だが、考証すべき問題が二点ある。
(一)名分論めいたことを云えば、長官が大臣よりも上位にあるとは、形式上は考えられない。しかし危官房長官内閣官房長官のような職であるなら、それは各大臣よりも上位の意思決定機関としての内閣をまとめる立場にある以上、実質上は、各大臣に対して強い発言権を持ち得よう。さらに、各大臣に就いた者よりも実力のある者が危官房長官に就いた場合に至っては、殆ど必然的に、長官が大臣の上位に位置し得るはずだ。官職の権限は就任者の力によって変動し得るからだ。
少なくとも云えることは、害気目や害水目のような各「目」の支配の権限は各「目」の大臣に属するはずである以上、いかに強大な実力ある危官房長官といえども、各「目」大臣の権限を超えて各「目」を直接支配することはできないものと推察されよう。その証拠に、キタネイダスやケガレシアが蛮機獣を開発して出動させ、自ら戦う場面が殆どないのに対し、チラカソーネは自ら出陣しなければならないのだ。
(二)これまでの害地目と害気目と害水目の三大臣による「連立政権」と、現在の総裏大臣の政権とでは全く体制が異なると考えることもできよう。実際そう考えると理解し易い。何時の間にか政権が交代していたのだ。ヨゴシマクリタインとチラカソーネはそれを「内閣カイゾウ」と称しているようだが、これまで政権を担当してきたキタネイダスもケガレシアもそのことを全く知らなかったわけだから、この政権交代は合法的な改造人事なんかではあり得ない。むしろ事実上クーデターのようなものだったのかもしれない。
なお、今回はゴーオンジャー側にも大きな悲劇的な動きがあったが、今はその行方を見守るしかない。一つ云っておかなければならないことは、ゴーオングリーン城範人(碓井将大)とゴーオンブラック石原軍平(海老澤健次)が想像以上に相思相愛だったらしいということだ。軍平にとっての理想の女性像は範人の女装姿であって、ゴーオンイエロー楼山早輝(逢沢りな)でもなければゴーオンシルバー須塔美羽(杉本有美)でもないわけだし、範人は銭湯に行くのに軍平だけを誘い、ゴーオンレッド江角走輔(古原靖久)もゴーオンブルー香坂連(片岡信和)もゴーオンゴールド須塔大翔(徳山秀典)も敢えて誘わなかったわけなのだ。それにしても、範人と軍平の入浴の場面における範人はエロティクに映っていた。