月九ヴォイス第二話

フジテレビ系。月九ドラマ「ヴォイス 命なき者の声」。
脚本:金子茂樹。音楽:吉川慶&Audio Highs。主題歌:GReeeeN「刹那」。プロデューサー:瀧山麻土香&東康之。制作:フジテレビドラマ制作センター。演出:成田岳。第二話。
このドラマにとって法医学とは何だろうか。ことによると、単に、大学生が警察や探偵の真似事をするために必要な材料を得るための便利な舞台装置に過ぎないのではないだろうか。実際、東凛大学医学部「法医学ゼミ」に属する加地大己(瑛太)以下五名の学生たちは、遺体の「声」(「ヴォイス」)に耳を傾けることが殆どなく、むしろ事件現場に足を運び、関係者に聞き込みをして捜査をすることに夢中になっている。だが、それは既に警察の領分であるだろう。否、もし警察であれば根拠の乏しい脆弱な推理の話を遺族に聞かせることもなかろう。
要するに加地等の行為は、専門職業人には許されないはずの越権行為であると云われなければならない。たとえ大目に見てもらえるとしても、少なくとも若気の至りとして叱責される必要はあるはずだ。法医学研究室の教員の一員である夏井川玲子(矢田亜希子)が五名の学生の姿勢について法医学の領分からの逸脱であると批判するのは、極めて妥当であるとしか思えない。法医学教授の佐川文彦(時任三郎)は彼等学生の行為について、もっと教育者としての責任感を持つべきではないのか。
もっとも、このような文句を云いたくなるのは「法医学研究室の学生たちを描くドラマ」として見ているからであるのかもしれない。警察や探偵の真似事をする若者たちを描くドラマとして見るなら、もう少し別の感想になるのかもしれない。でも、そうだとしても「家電製品を操作していて感電死」とか「死の前のフレンチトースト作り」とか「生命を賭けた玉子の調達」とか云った大胆な推理を聞かされると流石に困惑せざるを得ないだろう。