新番組=ドラマRESCUE特別高度救助隊第一話

今宵からの新番組。
TBS系。ドラマ「RESCUE 特別高度救助隊」。第一話。
脚本:山浦雅大。音楽:羽岡佳。主題歌:KAT-TUN「RESCUE」。プロデューサー:加藤章一佐藤敦司。製作:ドリマックス・テレビジョン&TBS。演出:倉貫健二郎。
役所の重々しい会議の場に、官憲風の制服を着用した夏八木勲矢島健一石橋凌等の役者たちが並んだ図を見ていると、「踊る大捜査線」以降の刑事ドラマにおいては今や馴染みの警察庁高官連と警視庁最高幹部連の参集した所謂「事件は会議室で起きている」の場面かと思えてしまうが、このドラマにおけるあの場面は、あくまでも神奈川県横浜市安全管理局における云わば管理職以上の幹部会議であり、あそこにいた人々は皆ああ見えて市役所職員なのだ。
物語の舞台の一であるこの組織について少々考察してみよう。
真田隆正(夏八木勲[特別出演])は横浜市安全管理局長。市役所における最高幹部の一人であるから、多分、消防吏員ではなく事務吏員の出身であると想像される。本間雄彦(矢島健一)は横浜市安全管理局指令センター指令本部長。この「指令センター」というのが法令上の正式な組織名であるのかどうか不明だが、「本部長」が局長を直接補佐する職だろうことは明白だ。彼が特別高度救助隊(所謂「スーパーレンジャー」)の維持管理費の予算の増額に反対していたところを見るに、彼は財政畑を歩んできた事務吏員であるのだろう。横浜市役所の安全管理局の公式サイトにある組織図には「指令本部」の記載はないので、恐らく劇中で一寸した悪役を担わせるために設定された役職なのだろう。同組織図によると安全管理局長の下には部長も設置されているので、恐らく指令本部長は消防行政担当の筆頭部長という位置付けで、局次長級というよりはむしろ副局長ではないかとも想像されよう(一般に副長は次長よりも格上と解される)。芹沢忍(石橋凌)は横浜市安全管理局警防課管理官。従来、一般に地方公務員の職名に「官」の字を用いることはなかったかと思われるが、最近は規制緩和の波の中でタガが緩んできたのか、現実の地方自治体にも「企画官」「管理官」が設置されている例があるようだ。先述の組織図によると警防課は警防部に属するので正しくは警防部警防課管理官と云うべきだろう。市役所サイトにある事務分担表によると警防課は「警防、救助、災害現場の指揮、消防訓練」を担当する。ところで、特別高度救助隊というのは現実の横浜市安全管理局で云うと、市民防災センターの特別消防隊のことだろうか。所管の課はどこになるのか市役所サイトからは読み取れないが、少なくとも「警防、救助、災害現場の指揮」を担当するのが警防課である以上、特別高度救助隊の現場での活動を統括するのが芹沢管理官であることは理解できよう。ちなみに「横浜市安全管理局消防職員委員会規則」は、「消防長」に準ずる職を安全管理局総務部長、総務部総務課長、人事課長と定めている。
一般の消防隊員から特別高度救助隊(「スーパーレンジャー」)への配置換えを希望する消防吏員たちの厳しい訓練の様子が目下の物語の描くところであるが、やはり、この種の話には定型があると云うべきだろう。だが、主人公の北島大地(中丸雄一)の特別高度救助隊を志望した動機が、月九ドラマ「ヴォイス」における主人公の法医学者を志望した動機と殆ど同じであるのには流石に驚いた。
北島大地に対する葛城康介(要潤)の怒りが描かれたことで、ドラマの主題が明確化され得たと云えるだろう。
訓練中の消防隊員中、最も能力の高い不動雅志(山本裕典)は一匹狼。能力が高くとも集団行動に馴染めなければ救助隊員にはなれない!という点にドラマがあるのだろう。手塚豊(増田貴久)は頼りになる優等生。皆に号令をかける役を担う立場にあることから想像するに、多分あの訓練中の隊員中では所謂「建制順」の筆頭なのだろう。ゆえに横浜市消防吏員としての採用試験で最も優秀だったと推察できよう。小日向剛(大東俊介)は陽気で威勢のよい親分肌の人物。井川省吾(石黒英雄)は無類の女好き。古賀敏也(浅利陽介)は体力も覇気も足りなくて普段は地味だが、酔うと元気になって本音を云う。岸龍太郎(加治将樹)は貫禄あり過ぎて若者に見えない。須崎修(山田親太朗)については、顔だけは見かけた。