炎神戦隊ゴーオンジャーGP48

東映炎神戦隊ゴーオンジャー」。
第四十八話「正義カイサン」。古怒田健志脚本。諸田敏監督。
先週(GP-47)の、ゴーオングリーン城範人(碓井将大)とゴーオンブラック石原軍平(海老澤健次)の消滅には、余りにも唐突な出来事だっただけに衝撃の大きさがあったが、今週の、ゴーオンゴールド須塔大翔(徳山秀典)とゴーオンシルバー須塔美羽(杉本有美)の消滅には、それが一つの必然だったことのゆえに悲劇性が強く出ていた。なぜなら大翔と美羽は自ら犠牲になることで逆転の可能性を探ることを最初から考えていたと思しいからだ。
友二人の消滅という信じ難い事態を目の当たりにして、取り乱さずにはいられなかったゴーオンレッド江角走輔(古原靖久)の心を癒して落ち着かせ、怯えてしまっているゴーオンブルー香坂連(片岡信和)とゴーオンイエロー楼山早輝(逢沢りな)の心を元気にして、そうして三人を奮起させて本来の熱い正義の心を燃え上がらせた上で、自分たち二人の身を犠牲にすることによって自ら、「正義解散」という恐ろしい攻撃を突破するための策を見付け出すための実験台になったのだ。
ところが、ゴーオンジャー&ゴーオンウイングスの過半を「正義解散」攻撃で瞬時に消滅させた総裏大臣ヨゴシマクリタイン(声:梁田清之)の恐るべき力に恐怖感を抱いていたのは、連と美羽だけではなかった。これまで蛮機族ガイアークを長閑に統治してきた害気大臣キタネイダス(声:真殿光昭)も害水大臣ケガレシア(及川奈央)の両名も、この新たな最高権力者による文字通りの「恐怖政治」には流石に恐怖感を抱かざるを得なかった様子だからだ。ことに、この強大な武力を有する独裁者が、自身の子である亡き害地大臣ヨゴシュタインをも「役立たず」呼ばわりで、もとより己の勢力を拡張するための捨て駒としか見ていなかった事実には、戦慄せざるを得なかったようなのだ。いかに強大な権力といえども統治する者と統治される者との間の信頼関係と、その形式化としての法なくしては永続し得ないということは英国の法哲学者ハーバート・ハートの論証するところだが、今、ヘルガイユ宮殿でもそうした状態が発生しつつあるのか否か。