炎神戦隊ゴーオンジャーGP-FINAL

東映炎神戦隊ゴーオンジャー」。
第五十話=最終回「正義ノロード」。武上純希脚本。渡辺勝也監督。
前半には、無敵の敵の攻撃によって解散させられていた正義の仲間たちが合流しての激しい決戦があり、後半には平和を取り戻して正義の味方という重い役割から解放された者たちの平和な日常があった。戦いの中で去った者たちや戦いのあとに去った者たちによく似た者たちが姿を見せる楽しい場面もあって、実にこの最終回は、一年間にわたり放送された長編物語の感動の終結の部であると同時に、云わば賑やかなファン感謝祭でもあったと云えるだろう。
戦いのあとの、正義の味方たちの日常が味わい深かった。ゴーオンレッド江角走輔(古原靖久)は再び、少年時代から憧れ続けてきたカーレイサーを目指し、本格復帰へ向けて訓練に励んでいた。ゴーオンブルー香坂連(片岡信和)は技術者(メカニック)として走輔を助け、また、皆から頼りにされていた。ゴーオンイエロー楼山早輝(逢沢りな)は都内のケーキ店で働きながら、憧れのパティシエを目指して修業中。ゴーオングリーン城範人(碓井将大)は相変わらずアルバイト生活を続け、ピザ店の配達員として警視庁にも出入り。警視庁の捜査一課特犯係で刑事として働いているのがゴーオンブラック石原軍平(海老澤健次)。しかもあの柏木左京(今井朋彦)の「相棒」として。
ゴーオンゴールド須塔大翔(徳山秀典)は須塔財閥の後継者として上流階級の人々との交際に追われ、妹のゴーオンシルバー須塔美羽(杉本有美)は須塔家の令娘として兄の補佐役。
面白かったのは、須塔家の城館における華やかな宴会の席上、ワイングラス片手に大翔と談笑していた浄土頭取(梁田清之)という紳士が、亡き害地大臣ヨゴシュタイン(声:梁田清之)にどことなく似ていたこと。同じように、警視庁で軍平に話しかけていた美空警部補(真殿光昭)も、亡き害気大臣キタネイダス(声:真殿光昭)と少し似たところがあった。ケーキ店で早輝の試作したケーキを味わっていた有閑主婦の清水奈央(及川奈央)に至っては、亡き害水大臣ケガレシア(及川奈央)その人のようにさえ見えた。三人とも、三賢人によく似て陽気な人々だった。炎神たちによく似た人々もケーキ店主やバス運転手や走輔のメカニックとして登場して、オールスターキャストと云うに相応しく、素晴らしく賑やかな最終回だった。
そういえば、戦いの只中、「正義解散」状態から復帰を遂げた美羽が走輔に「お礼は敵を倒してから、ゆっくりね」と云っていたが、一体どのような「お礼」をしたのだろうか。そこは描かれなかった。走輔に対する美羽の好意は殆ど初めて出会ったとき以来の特別なものと見られるが、結局、走輔は夢だけを見続け、美羽は兄への敬意の中に全てを誤魔化して、恋を発展させることはなかったようだ。でも、それで正解であると思う。ここにも子ども番組らしい程よいバランス感覚が認められよう。