日記

帰宅後、気分転換も兼ねて夜八時頃から五十分間スポーツクラブで少々過度に鍛えて、再びの帰宅後は少しだけ読書。立石和弘『男が女を盗む話 紫の上は「幸せ」だったのか』を読み終えた。平安時代の「伊勢物語」や「源氏物語」の描く略奪婚について、男の側の英雄性ばかりを強調する従来の読みを徹底的に批判し、女の側の思いがどうだったのか、さらには略奪婚を見逃し、或いはそれに加担する周囲の思惑がどこにあったのか等をも緻密に分析していて、極めて興味深い。ことに、「伊勢物語」においても微かには描かれていた女の側の抵抗や絶望が「源氏物語」においてはむしろそれこそが主題であるかのように執拗にも深く掘り下げられていることを明るみに出してゆく論述には、かなり凄みがあった。

男が女を盗む話―紫の上は「幸せ」だったのか (中公新書)