RESCUE特別高度救助隊第五話

TBS系。ドラマ「RESCUE 特別高度救助隊」。第五話。
脚本:山浦雅大。音楽:羽岡佳。主題歌:KAT-TUN「RESCUE」。プロデューサー:加藤章一佐藤敦司。製作:ドリマックス・テレビジョン&TBS。演出:倉貫健二郎。
救助隊員は、現場で互いに的確な役割の分担を判断できるために、互いの能力の限界を知っておかなければならない。今回の災害現場における手塚豊(増田貴久)の活動は、確かにそのことの必要性を実証した。同時に、今回の彼の活躍は、特別高度救助隊へ新たに加入した三人の中での彼の個性を明確化した。
北島大地(中丸雄一)が人命救助のことだけを一途に考えることのできる情熱の人、不動雅志(山本裕典)が救助隊員としての使命を遂行するために己をどこまでも高めようとする闘志の人であるとすれば、手塚豊は、要救助者とその周囲の人々の苦しみや悲しみに共感し、己の苦しみや悲しみとして受け止め得る想像力の人だったのだ。
要救助者が亡くなり、怒りが救助隊員へ向けられたときには、その怒りをも受け止め、その怒りによって己自身をどこまでも責めてしまう程で、何事にも満遍なく優等生だった彼の挫折の種がそこにあった。
そう考えるなら今回の救助活動は、北島大地よりも不動雅志よりも彼にこそ相応しいものだったとも云える。潜水訓練における彼の(不動雅志をも遥かに凌ぐ)抜きん出た能力の高さが活かされただけではない。水中で身動きの取れない要救助者の(もし気を失っていなければ感じたはずの)苦しみを、傍に付き添いながら一緒に(否、正確には身代わりになって)受け止めることができたからだ。
第三話において彼が、亡き古賀敏也(浅利陽介)の祖母の美枝子(大森暁美)の届けたオニギリを不動雅志に食わせた場面を、ここで見直してみてもよいのかもしれない。あのとき手塚豊は、古賀敏也への友情に燃えていたというよりはむしろ、古賀敏也と古賀美枝子の思いに共感して泣いていたに相違ないのだ。