RESCUE特別高度救助隊第六話

TBS系。ドラマ「RESCUE 特別高度救助隊」。第六話。
脚本:渡辺啓。音楽:羽岡佳。主題歌:KAT-TUN「RESCUE」。プロデューサー:加藤章一佐藤敦司。製作:ドリマックス・テレビジョン&TBS。演出:堀英樹。
横浜市安全管理局特別高度救助隊(「スーパーレンジャー」)の隊員、葛城康介(要潤)の抱える「克服すべき問題」には理解し難いものがある。
彼が新入隊員を悉く毛嫌いし、事ある毎に新人を辞めさせようとしていた理由が、数年前、かわいがっていた新人隊員の田口(杉浦太陽)を救助の現場で負傷させ、片目を失明させ、結果として救助隊どころか消防隊自体からも退職を余儀なくさせたことから来る心の傷にあったことは描かれた。新人の軽率な不注意を止め切れなかった所為で、その新人の身体を不自由にして人生設計をも壊してしまい、以来、新人とともに活動することそれ自体に臆病になっていたのだ。
なるほど彼の悔恨の情を想像しないわけではない。だが、そんなことでは救助隊は成立しないだろう。新人は必ず他の班へ配属されて経験を積み、熟練して初めて彼のいる班に転入する…という形を取れば大丈夫だ!と云うのか知らないが、他の班の隊員たちが黙ってはいないだろう。一人の隊員が何時までも最年少であり続けることはできない。特別高度救助隊が少子高齢化の末に消滅してしまうではないか。
ところで、今回の第六話で特筆すべきことは、特別高度救助隊や救助隊や消防隊の隊員には医学に関する知識も少なからず要求されるという事実が初めて描かれた点にあると云えるかもしれない。考えてみれば当たり前のことではあるが、これまで劇中には救助の現場における医学的な問題について学習する場面が一切なかった。訓練篇でも救助篇でも、体と「根性」を鍛える場面ばかりが続いてきたので、多くの視聴者がそのことを忘れていたのではないだろうか。完璧主義者の不動雅志(山本裕典)や優等生の手塚豊(増田貴久)は医学的な知識の点でも優秀だったのだろうと推察されるが、救助への情熱と「根性」だけを取柄とする北島大地(中丸雄一)がその点でも今一つだったに相違ないと判明した今、彼が消防隊員から一気に特別高度救助隊員へ転身できたのは実に奇跡的であるとしか云いようがない。