メイちゃんの執事第八話

フジテレビ系。ドラマ「メイちゃんの執事」。第八話。
原作:宮城理子。脚本:古家和尚。音楽:河野伸高見優。主題歌:ROCK‘A’TRENCH「My SunShine」。企画:後藤博幸&太田大。プロデューサー:橋本芙美共同テレビ)。制作:フジテレビ&共同テレビ。演出:岩田和行。
柴田剣人(佐藤健)が柴田理人(水嶋ヒロ)に対して勝負を挑んだとき心に抱いていたはずの矛盾こそは、このドラマには稀な、観者の心を打つドラマティクな要素だったと云えるだろう。彼は一方において「負けられねえ」と思いながら、他方においては正々堂々闘って柴田理人に本気を出させることによって東雲メイ(榮倉奈々)に笑顔を取り戻させる必要があると決意していたに相違ないからだ。実際、柴田理人も「目が覚めた」と云って決闘に勝った。
だが、吾等視聴者にとっては甚だ納得ゆかない勝敗ではある。そもそも、あの東雲メイのために彼等二人が争い合うこと(所謂「わたしのために争わないで!」状態になること)自体が不条理ではあるのだが、今はそのことを問わないでおこう(この根本問題を問い始めると収拾が付かなくなる)。ともかくも東雲メイを常に傍にいて見守り、守るために闘い続けてきたのは間違いなく柴田剣人であり、柴田理人は肝心のときに何時も不在だった。今さら目を覚ましても遅いのだ!と云わざるを得ない。しかも、その覚醒の契機は柴田剣人によって与えられた。柴田剣人が本気の勝負を挑んだからこそ、現実を見失い迷走していた柴田理人も「目が覚めた」のだ。
同じことは東雲メイにも云える。己の本心に反して聖ルチア女学園を離れ、柴田理人とも別れて敢えて柴田剣人と交際しようとしていた東雲メイの、目を覚まさせた契機は、柴田剣人と柴田理人との真剣勝負(所謂「わたしのために争わないで!」状態)を目の当たりにしたことだった。
柴田剣人の本気の闘いの、この何とも云いようもない報われなさ加減を一体どう納得すればよいのだろうか。
殴り合いの決闘に敗れ、床の上に倒れたまま、愛する人の幸福のために己一人を犠牲にしただけのピエロのような馬鹿さ加減に自ら呆れるように、悲しみと痛みに耐えていた彼を、せめて先輩の青山(真山明大)か誰かが手を差し伸べて、或いはむしろ抱き起こしてやればよかったのに。
ところで。今回は六本木(加藤慶祐)が目立っていた。築地(南圭介)の顔も多く映った。台詞もあった。番組最後の視聴者プレゼントの告知の大役にも六本木と築地に乃木坂(君沢ユウキ)を加えた三人組が起用されていた。中目黒(山口賢貴)も所謂オネエ語で叫んでいた。