侍戦隊シンケンジャー第十二幕

東映侍戦隊シンケンジャー」。
第十二幕「史上初超侍合体」。脚本:小林靖子。監督:諸田敏。
時代劇においては、儀礼的とも云える形式性においてドラマを作り出すことが求められよう。逆に云えば、形式性を排した時代劇を人は時代劇とは認識しないに相違ない。その意味において今朝の第十二幕におけるシンケンレッド志葉丈瑠(松坂桃李)と家臣団との間の契りがあのように見事な形式性において表現されたのは、ドラマをドラマティクにするための必然だったと云わなければならない。
侍戦隊の大将(「殿様」)として生きてゆくべきか否かをめぐり思い悩み、「迷児」と化していた状態を脱却し得たシンケンレッド丈瑠(松坂桃李)が「おまえたちの生命、改めて預った」と宣言すれば、シンケンブルー池波流ノ介(相葉弘樹)が「固より!」と呼応し、丈瑠が「俺の生命、おまえたちに預ける!」と宣言すれば、シンケングリーン谷千明(鈴木勝吾)が「まかせろ」と返答したが、これら二つの契りは、叙事詩的とも云える厳粛な対句表現の中で二人の家臣の対照性を浮かび上がらせつつ、むしろその対照性を通してこそ、互いに相容れない面もある者たちが今や一つの天命の下に結束し直したことの奇跡を鮮やかに強調している。