アイシテル-海容第四話

日本テレビ系。ドラマ「アイシテル 海容」。第四話。
原作:伊藤実。脚本:高橋麻紀。演出:国本雅広。
このドラマの制作者が殺人事件の被害者の父親である小沢秀昭という役に佐野史郎を起用したのは、吾が子を殺害された者の怒りの、如何なる方法によっても償い得ない深さ、大きさを最大限に表現するには彼の表現力と容姿が必要であると判断したからだろうし、逆に云えば彼の表現力と容姿を当てにして登場人物を存分に設計できた面もあったかもしれない。実際、彼の妻であり被害者の母である小沢聖子(板谷由夏)が漸く少し落ち着きを取り戻しつつある中で逆に遂に彼が表出し始めた怒りの激しさは、見る者に恐怖心を生じないではいない程だった。でも恐らくは完璧ではないのだろう。なぜなら彼の怒りの凄まじさには、仇討のため加害者と加害者の一族を滅亡させかねないとさえ思わせる程の勢いがあり、もっと云えば、暗く重い呪いのエネルギーのようなものさえも感じさせ、まるで悪役のようだったからだ。