旅行記三相国寺承天閣美術館

旅行記三。
朝八時頃にホテルの食堂で朝食を摂って十時の少し前にホテルを退出。新京極通へ出て、そのまま京都駅へ向かおうかとも思ったものの、折角なので暫く滞在しようと思い、北上して三条通を経て烏丸御池駅から今出川駅へ移動。相国寺承天閣美術館で開催中の「金閣 銀閣名宝展」を観照した。
相国寺に所縁の深い画家といえば今や周文や雪舟よりも人気の高いのが伊藤若冲だが、この展覧会には若冲の作品の中で、現在も法要で使用されているという巨大で豪華な「釈迦三尊像」三幅対(釈迦如来像・文殊菩薩像・普賢菩薩像)のほか、「中鶏 左右梅図」三幅対、梅荘顕常(大典蕉中)賛を伴う「芭蕉図」双幅、「牡丹百合図」双幅が出ていた。若冲水墨画にも秀でた画家であることは承天閣美術館第二展示室に常設展示されている重要文化財鹿苑寺大書院障壁画床貼付 葡萄小禽図 月夜芭蕉図」が物語る通りだが、世間では御物「動植綵絵」のような華麗な著色画で親しまれているので、今回のこれらの作品は世間の期待に存分に応えるものと云えるかもしれない。
池大雅の「渓亭春興 秋山行楽図屏風」六曲屏風一双は銀閣寺(慈照寺)に古くから伝わったものとのこと。淡々とした描写と彩色が心地よいが、重要文化財「白雲紅樹図」は濃厚な色彩が心地よい。
円山応挙の大幅「大瀑布図」は、近年は色々な展覧会で見る機会があったような気がするが、所蔵者であるこの美術館では意外にも今回が初公開になるらしい。長さ四メートルもの大画面に大瀑布を描いていて迫力がある。迫力を生み出している要素の一つは瀧の両脇の岩山の表現の迫真性、写実性だろうが、望遠鏡で拡大して見ると思いのほか淡々として無駄のない描写をしている。流石だ!と云わざるを得ない。
入館したのは朝十一時頃、退出したのは昼一時半頃だったろうか。今出川駅から京都駅へ地下鉄で移動し、二時十三分にJR京都駅を発って岡山駅を経由して松山駅へ着いたのは夕方六時二十五分。移動中は寝たり読書したり。昼食は京都駅で買った駅弁を新幹線で。夕食は松山駅のカレー店で。想い起こせば両方とも鶏肉の料理だった。