土八ドラマMR.BRAIN第七話

TBS社運開運祈念キムタク脳トレ土八ドラマ「MR.BRAIN」。第七話。
脚本:蒔田光治森下佳子。演出:山室大輔。
昨年の十月から十二月までの間この時間帯に放送されていたドラマ「ブラッディ・マンデイ」では天才ハッカー少年「ファルコン」とテロリスト集団との死闘が描かれ、しかもその集団の指導者「J」が事実上の主人公であると云うも過言ではない最終回だったのが記憶に新しい。また、本年の先月まで放送されていた木曜劇場「BOSS」にもテロリスト集団「黒い月」が登場した。何れにおいても警察庁や警視庁の内部にはテロリスト集団に通じた者がいて、それが劇中の事態を混乱させ、警察を愚弄する要因にもなっていた。
テロリスト集団との闘いを描くドラマにおいてはそれが基本であるのか知らないが、今宵の「ミスターブレイン」も同じような構図を作っている。このドラマはどうして斯くも「BOSS」と悉く連動したような展開になるのだろうか。
今回、九十九龍介(木村拓哉)が取り組んでいる事件は、警察庁、特にその附属機関としての科学警察研究所が警視庁とともに総力を挙げて取り組んでいる大事件であり、それは現在までのところ、テロリストの北里陽介(上川隆也)が警察庁の「副長官」(警察庁次長のことだろう)の川瀬要三(大林丈史)を狙撃したことから始まり、次いで警察出身の衆議院議員、尾崎幸平(浜田晃)を誘拐したあと、さらに検察出身の衆議院議員、菊池大二郎(清水紘治)をも誘拐しようとしたところを間違えて民間人の相沢義之(光石研)を誘拐してしまったか…と見せかけてそれが実は警察をさらに愚弄するための罠に他ならなかったわけだが、ドラマとして見て、どうも今一つ緊迫感が足りない。思うにその理由は誘拐されたのが一衆議院議員だったからではないか。これがもし閣僚(例えば国家公安委員会委員長)であるとか与党の幹事長であるとなれば、雰囲気も違ってくるだろう。せめて警察庁長官とか警視総監とかを標的にした方がドラマを盛り上げ得たことだろう。
ところで、誘拐されている衆議院議員は元警察で、警視庁刑事部捜査一課長や刑事部長を歴任した人物と説明された。確かに、よく似た人物が約十二年前、警視庁捜査一課長として部下の管理官を連れて港区台場の湾岸警察署に度々設置された特別捜査本部の会議室に出席していたのを幾度も見た記憶がある。官僚ではなく、叩き上げの人だったが、それは要するに昇進試験と人間関係に強かったということだろう。