新番組=任侠ヘルパー第一話

今宵からの新番組。
フジテレビ系。木曜劇場任侠ヘルパー」。第一話。
脚本:古家和尚。演出:西谷弘。
このドラマの放送時間中には不覚にも居眠りをしていたので見逃したのだが、なぜかHDDに録画できていたので今それを見た。この番組を録画するつもりはなかったものの、先々週まで「BOSS」を録画していたときの予約録画の設定を、消去し忘れていたからだ。
ところが、前半の穏やかな喜劇的な日常から後半の重く悲しい事件へ話が盛り上がり、「さあ、この老婆は最後どうなるのか?」と手に汗握りつつあったところで録画分が切れた。そうか、十五分延長だったのか。
というわけで、第一話の結末を知ることもできず、ドラマの方向性も確とは把握することもできてはいないが、なかなか興味深かったので次週も視聴しようと思う(予約録画の設定も消去せず残しておこう)。
第一話の印象を決定付けているのは、老人介護施設「タイヨウ」に居住する認知症の老女、倉田チヨ(池内淳子)の寂しい姿に他ならないが、そのことについて心を痛めることなく冷静に語り得る自信はない。とにかく、池内淳子の熱演によって大いに心動かされたとしか云いようがない。その意味において昨年度の橋田寿賀子ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」は池内淳子の魅力を引き出し得ていなかったと批判せざるを得ない。
他方、若手に目を転じるなら、配役が意外に巧いと感じる。例えば、山本裕典五十嵐隼士の配役。五十嵐隼士が演じる黒沢五郎は、何でも直ぐ腕力で片付けようとする柄の悪い暴力団員、隼会の幹部候補の若者。山本裕典が演じる和泉零次は、老人介護施設「タイヨウ」で他の職員たちを指導し、業務の指揮管理をも任されている若くして有能な介護福祉士。でも、無愛想で強気で、どことなく怖い。そんな和泉零次は、普段はもちろん他人に暴力を振るうことなんかないのだろうが、短気な黒沢五郎に喧嘩を売られたときには瞬時に反撃に出て、逆に押さえ付けてしまう程の瞬発力と腕力と技を発揮した。優等生の意外な強さに、黒沢五郎は驚いていた。あの一場面は、老人介護は力仕事でもあるということを物語っているのかもしれないが、同時に、老人介護という厳しい職業において粘り強く生き続けている若者の奥行の深さを、能天気な悪党との対比において描いていると見ることもできようか。山本裕典の容姿は一見アイドル風のようでいて、よく見ると貫禄があるというか強そうな感じがあるが、対する五十嵐隼士はその逆で、ゆえにこの配役には巧いこと合っている。
介護施設「タイヨウ」で働く若者たちの内、大島陽介役の山田親太朗とか、古賀健介役の高木万平とか古賀康介役の高木心平とかは本当に介護施設で働いていそうな雰囲気を醸し出していた。古賀兄弟役の双子の高木兄弟が二人揃って施設内の老女たちにモテモテ状態だった図は、それだけで笑えるような妙な構図を作っていた。