オトメン(乙男)第四話

フジテレビ系。土曜ドラマオトメン(乙男)〜夏〜」。第四話。
原作:菅野文。脚本:吹原幸太。演出:谷村政樹。
正宗飛鳥(岡田将生)が、誰も来ない校舎の屋上で、橘充太(佐野和真)の破れたベストを繕う場面から始まった今宵の第四話。橘が飛鳥を常に熱心に観察しているのは、もともとは生業にしている少女漫画のための素材を求めるからだったが、今や飛鳥自身に対して愛着や心配もあるからでもあるに違いない。飛鳥にとって悩み事を正直に打ち明けて相談することのできる唯一の相手が橘に他ならないということがそれを物語る。橘をそこまで信頼できるのは、飛鳥に対する橘の態度が、単なる打算からは出てこない程の、理解の深さと優しさを見せるからであると思われるからだ。軽薄な仮面の奥の橘の優しさは、妹の久利子(武井咲)に対する眼差しに現れるが、同じ眼差しは飛鳥にも向けられているように見える。
話の流れに関して云えば、飛鳥と多武峰一(木村了)の両名は一体どのような経緯で浜辺のイヴェント主催者の事務所に招きいれられたのか?という謎はあったが(時間の都合で省略したのか、それとも脚本にも何も書かれていなかったのか?)、古風な侍のような男らしさを脱して裁縫に夢中になる飛鳥の楽しそうな表情が美しく捉えられて、視覚的には説得力があった。