美輪明宏の老女優は去りゆく

NHK総合「SONGS」における美輪明宏特集を、別に見るつもりもなかったのに見てしまった。最後に歌われた「老女優は去りゆく」が素晴らしかった。美輪明宏がこれを歌うのをかつてNHKの何かの番組で一度は視聴したことがあったのだが、それは十何年前のことだったろうか、記憶が定かではない。今宵の「老女優は去りゆく」については録画したので、再び視聴することを得るだろう。
美輪明宏の他の作品についても同じことが云えるのかもしれないが、ことにこの「老女優は去りゆく」については、純粋に音楽としてだけ聴くよりは、老女優を演じる美輪明宏の歌芝居として視聴すべき作品であると思われる。その意味での一番の見所は、女優人生最後の芝居を終えて、足元も覚束ない老いた姿で退場した老女優が、鳴り止まぬカーテンコールに応えて再登場したときの、余りにも若々しく颯爽とした華やかさにあると云えるのではないだろうか。「スター」と形容される主演女優の、最高度の輝きがそこにある。