ヤマトナデシコ七変化第八話

TBS系。金曜ドラマヤマトナデシコ七変化」。第八話。
原作:はやかわともこ。脚本:篠崎絵里子。演出:石井康晴
森井蘭丸(宮尾俊太郎)の、まだ六歳だった十五年昔から定められていた許婚、菊乃井珠緒(浅見れいな)が中原家の城に来訪した。恋多き彼が、交際する女子たちの内の誰をも愛しているわけでもなく、実は己自身しか愛せない男子と化しているという問題、一人の女子を真剣に愛することに恐れを抱いているという問題に、漸く真剣に向き合わざるを得なくなったのを機に、同居人の皆も、それぞれに内面に抱える問題に向き合おうとする話。そうした中で高野恭平(亀梨和也)もまた、己の家族の問題に真剣に向き合うことを決意したが、それは本質的には彼の問題であるよりは彼の母、高野亜紀(麻生祐未)の側の問題であり、ゆえに彼の決意だけでは解決できない問題ではある。彼の母の心の病の描写が迫真性に満ちていたこともあって、今宵の第八話の後半は重苦しかった。
他方、喫茶店「迷宮入り」で森井蘭丸、高野恭平、遠山雪之丞(手越祐也)とともに織田武長(内博貴)が、店主から勧められた酒に酔った勢いで、自身の抱える問題について嘆くところは面白かった。何時もの冷静な姿からは一転、何時になく甲高い声で「意地無しだもん!」と自虐しつつ泣き顔になるところは、第六話における上半身裸の彼の胸と脇のエロティクな美とは別の意味で視聴者を魅了し得るものがあったと思う。