仮面ライダーW第四十一話

東映仮面ライダーW(ダブル)」。
第四十一話「Jの迷宮/猟奇的な悪女」。
脚本:長谷川圭一。監督:石田秀範。
風都警察署超常犯罪捜査課の人情派の刑事、「ジンさん」こと刃野幹夫(なだぎ武)が宝石ドーパントの罠にかけられて逮捕された事件に関連し、彼が交番の制服姿の巡査だった時代のことが少しだけ語られた。その話は同時に左翔太郎(桐山漣)の少年時代を語るものでもあった。
不良高校生だった翔太郎は、何か悪いことをしては何時も刃野巡査に追い掛け回されていた。雪の降る冬の寒い日も、桜の花の散る春の日も、紫陽花の咲く初夏の雨の降る日も、向日葵の咲く夏の暑い日も。なるほど、両名は永い付き合いの中で、天敵であることによって心友でもあったのか。
翔太郎は一体どのような不良だったのだろうか。今回の事件にも深い関係のある上杉誠(河合龍之介)も、今でこそ風都で一番の人気を誇る美男子モデルとして活躍してはいるものの、かつては不良少年で、やはり刃野巡査の世話になることが多かったようだが、風都警察署の取調室における刃野刑事の回想によると、上杉誠の一味は「街の平和を守る」と云っては他の不良集団を相手に喧嘩を繰り返していたらしい。想像するに、翔太郎も似たような感じだったろうか。幼少期の翔太郎(嘉数一星)が風都の皆を守りたいと志していたことは第二話で描かれた。高校生になった翔太郎も、服装や髪型は不良のようでも、志においては「街の平和を守る」ために、暴力沙汰を繰り返していたのかもしれない。
他方、風都警察署の取調室では真倉俊(中川真吾)が大暴走。刃野刑事を完全に犯罪者扱い。しかも妙に楽しそうに。高圧的に恫喝するような尋問を続けていて、同課長の照井竜(木ノ本嶺浩)は少々困ったような様子で傍観していた。真倉刑事のこの勢いは、警察官僚の照井竜でさえ手を付けられない程であるのか。照井竜が留置所に翔太郎を呼び付けたり取調室へ入室させたりしたのは、刃野刑事のためであると同時に、むしろ真倉刑事の暴走を止めさせるためでもありはしなかったろうか。