GOLD第十一話=最終回

フジテレビ系。木曜劇場「GOLD」。第十一話=最終回。
早乙女洸(松坂桃李)が水泳選手として五輪への出場の権利を獲得し得て、今まさに幸福の頂点にあった早乙女悠里(天海祐希)を刺殺すべく、晴れやかに演説しているところへナイフを手にして近付き、咄嗟にそれに気付いた蓮見丈治(反町隆史)によってそれを阻止されるまでの間の丹羽聖子(エド・はるみ)の、決死の、不退転の、しかも狂気の顔。そして拘置所の面会所における丹羽聖子と、早乙女悠里との、それぞれの人生を賭けた応酬。先週の、下着姿で蓮見丈治に迫っていた場面から今週のこの面会所で長男の丹羽勝(水野真典)に励まされて泣き崩れるまでの丹羽聖子の狂気には凄まじいものがあった。
暴力的な引き籠もりの「プアチャイ」だった頃の丹羽勝は怖くて醜かったが、「ビーチャイ」へ生まれ変わった彼は早乙女洸よりも早乙女廉(矢野聖人)よりもはるかに美青年だった。演じた水野真典の顔写真を所属芸能事務所スターダスト公式サイトに求めてみると、なるほど実は美青年だったのだ。
このドラマにおける最も重要な成果として、新倉リカ役を演じた長澤まさみが何時になく魅力的だったことがあるが、今宵の最終回では、早乙女家の人々の思念が早乙女朋(大江駿輔)や少年時代の蓮見丈治の姿形を取って出現したのを見たこと以外には何らの役割も果たさなかった。それでも、番組の最後を飾ったのが新倉リカの再就職の話だったのは、このドラマを見所あるものにした役と役者への云わば論功行賞だろう。
早乙女家に養子同然に迎え入れられた孤児の、野性児のようだった少年時代の蓮見丈治が、豪勢な夕食のとき、当然ながらナイフとフォークの使い方を知らなくて肉料理を手掴みで食べていたときの、何とも野性的な感じが美しくて極めて印象深かった。