仮面ライダーオーズ第三話

東映仮面ライダーオーズ/OOO」。
第三話「ネコと進化と食いしん坊」。
流浪の青年、火野映司(渡部秀)が、アンク(三浦涼介)から投げ与えられた三枚のメダルを一薙ぎに受け取って仮面ライダーオーズに変身する動作が圧倒的に恰好よかった。この種の瞬間があるか否かで、特撮ヒーロードラマの面白味は俄然違ってくるように思う。
ところで、彼等二人の関係の相互性が今回あらためて確認された。もともと仮面ライダーオーズに変身するためのベルトもメダルもアンクから火野映司へ与えられたもので、火野映司はそれを人を助けるために使用しているが、アンクは火野映司を利用してメダル収集を進めようとしている(第一話)。しかるに、火野映司は、アンクのメダル収集のためには仮面ライダーオーズの力が必要であることに目を付け、アンクに対し、変身して欲しければ何時でも変身を妨げてはならないこと、そしてメダル収集よりも人命救助こそ優先されるべきであることを約束させた(第二話)。ところが、今度はアンクが、人を助けたいという火野映司の願いをかなえるためには仮面ライダーオーズへの変身が不可欠であること、そして変身のためにはベルトだけではなくメダルも不可欠であることに目を付け、火野映司に対し、変身のためのメダルを欲しければ己の命令に従うべきことを主張した(第三話)。
もっとも、火野映司には元来、たとえ変身できなくとも、人の生命を救うために自身を犠牲にすることをも辞さないような面があるので、結局は、火野映司が変身を要する局面でアンクはメダルを与えざるをえなくなってしまうようだが、ともかくも、両者の間に一方的な主と従の関係が成立していないところが面白い。火野映司は単なる手段ではないし、アンクは単に飼われているわけではない。
鴻上財団の後藤慎太郎(君嶋麻耶)は今回も仮面ライダーオーズのために有益な武器を提供した。乗ってきたバイクを変形させて自動販売機を出現させ、メダルをそこへ投入させてジュース缶の形をした武器カンドロイド(タカカンドロイド&タコカンドロイド)を出したのだ。人の好い火野映司は前回も今回もこれを親切な贈物と解していたが、アンクが見抜いたように実際にはあくまでもメダルとの等価性の交換であり、要するに、苦労して収集したメダルを代価として支払わされて、購入させられていたに過ぎない。そして鴻上財団側の狙いはメダル収集にあったらしい。彼等からも火野映司は利用されようとしている。火野映司ばかりかアンクまでも、彼等からは、単なる手段でしかないと見られているようだ。