仮面ライダーオーズ第十一話

東映仮面ライダーオーズ/OOO」。
第十一話「旅人とアゲハ蝶と有名人」。
鴻上財団の隊長、後藤慎太郎(君嶋麻耶)が大暴走を始めたが、その動機は明確にされている。
そもそも彼は世界平和のために働きたいという志のために敢えて警察庁の上級職、官僚候補の職を退官して鴻上財団のバイク隊に転職したが、今そこで任されている仕事は主に、仮面ライダーオーズのために各種の武器を届け、ついでに、贈り主である鴻上光生(宇梶剛士)の言葉を伝達すること。しかも仮面ライダーオーズに変身して平和のための戦闘の最前線に赴くのは火野映司(渡部秀)という奇妙な青年。同年代だろうが、明らかに後藤慎太郎のような学識も戦闘力もなさそうな頼りない人物が重大な任務を帯びている事実に、後藤慎太郎は納得ゆかないでいた。これまでの十話を通してそのことは常に描かれ、積み重ねられてきた。
そうした中で今朝の話では、警察庁勤務時代の同僚と街中で偶々出会い、馬鹿にされたのだ。今は世界平和のために働いていると云える程の重大な仕事を任されているのか?それとも口だけか?と。事実、現状は「口だけ」でしかないだけに、この侮辱がエリート候補だった彼には耐え難かったのは間違いない。結果、冷静ではなくなっていたところに鴻上生体研究所長の真木清人神尾佑)が付け入り、仮面ライダーオーズに先んじてヤミー退治に成功してみせて実績を作ってはどうかと唆したのだ。
大きな武器を構えて走り、ヤミーへの砲撃を敢行しながらも失敗して逆に飛ばされてしまった痛々しさも、そこへ駆けつけた火野映司から助けられかけてさらに悔しい思いをしてしまうところも面白かった。この場面を味わい深くしているのは、後藤慎太郎が火野映司に嫉妬して敵意に近いものをさえ抱いているのに対し、火野映司は彼を親切な人だと思っていて親愛の情をさえ抱いていることだ。後藤慎太郎に何か転機が訪れて火野映司への態度を反対方向へ変えてしまうときの来ることを期待せずにはいられない。