ギルティ第七話

フジテレビ系(関西テレビ制作)。ドラマ「ギルティ 悪魔と契約した女」。第七話。
野上芽衣子(菅野美穂)に罪を重ねさせたくない真島拓朗(玉木宏)と、復讐を遂げるまでは己の幸福なんか捨てる覚悟の野上芽衣子との間の真剣な対峙は今宵の一番の見せ場だったろう。
だが、警視庁捜査一課理事官の宇喜田元(吉田鋼太郎)が犯罪者と結託していたらしいことを理解した門倉了(RIKIYA)の冷ややかな様子も、このドラマにおける犯罪の構造を象徴する像として意味深いものだったと云えるかもしれない。
この物語において重要な役割を果たしている要素の一つは「出世」ということに他ならない。野上芽衣子の復讐の標的となった連中はそれぞれ十五年前の冤罪事件のあと出世を遂げていた。そして警視庁においては、本来は警察官僚候補として順調に出世を遂げて然るべき真島拓朗は出世の路から外されているのに対し、本来はたとえどんなに頑張っても有能であっても容易には出世できないはずの宇喜田元は無能であるにもかかわらず快調に異例の出世を遂げている。
そうした中で門倉了は、己の出世のため、あくまでもそれだけのために、敢えて無能な宇喜多元の忠実な部下を演じてきた。出世欲の塊のような上司と部下との、利害関係の一致に基づく主従関係がそこにはあった。だが、何の葛藤もないかに見えるのは表面上のことに過ぎなかった。野上芽衣子が宇喜多元の暗黒面を暴露し始めた結果、門倉了は今や、宇喜多元に仕えることが醜聞に巻き込まれかねない危険な行為であり、出世の妨げにしかならないこと、否、それどころか、むしろ宇喜多元の罪を明らかにして追い落とすことこそが出世の近道であることを見定めたに相違ない。
要するに、己の出世のために他人を犠牲にしてきた宇喜多元は今、己の出世のためには他人を追い落とさざるを得ないと考える点において意気投合できていた忠実な部下の門倉了によって追い落とされようとしているのかもしれないのだ。
もっとも、次週以降の展開において実際にそういう構図が強調されるかどうかは定かではないが(むしろ野上芽衣子の復讐や真島拓朗の正義という主題を尊重するなら、そうはならない可能性が高いが)、そうなる可能性を孕んでいるという点だけでも話として面白くなっていると云えるだろう。