橋田寿賀子ドラマ渡る世間は鬼ばかり第十部第六話

TBS系。橋田寿賀子ドラマ「橋田壽賀子ドラマ渡る世間は鬼ばかり」。
最終部=第十部第六話。
小島邦子(東てる美)と山下久子(沢田雅美)の狂暴で強欲な姉妹デュオが考案したインターネット餃子店の構想が、早くも実現する運びとなった。両名の兄である小島勇(角野卓造)が経営する小島家ラーメン店「幸楽」の餃子をインターネット上で販売するという構想であり、近年の「B級グルメ」流行に便乗したい考えであると思われるが(ゆえに劇中でも「B級グルメ」流行の波に乗じて予想外に繁盛する可能性があると今から予想できそうだが)、この構想を立ち上げるに際しての最初の難問は、開店時に、云わば打ち上げ花火として餃子二十個を先着何十名かに無料で配布するという点にあった。
小島邦子&山下久子デュオはそのための大量の餃子を兄に無償で提供してもらうか、さもなくば安価で拵えてもらうか、何れにせよ開店には「幸楽」の餃子が不可欠だったが、兄からは、提供どころか、有償でも拵えてやることはできぬ!と拒否され、途方にくれていたところ、兄の嫁の小島五月(泉ピン子)がこの構想に興味を持ち、そこに「夢」をさえも感じ、己の「夢」としてそれを引き受けたいと考えて、構想を具体化するための費用として百万円を父である高級料理店「岡倉」主人の岡倉大吉(宇津井健)から貰い受けてきて夫を説得するに至った。夫の小島勇はその百万円を直ちに岡倉大吉へ返却するよう妻に命じた上で、むしろ妻へのささやかな贈物として自ら無償で餃子百万円分を提供することを宣言したのだ。
それにしても気になるのは、インターネットで販売する餃子というのは一体どのような状態で発送されるのか?という点だろう。完全に調理の済んだ状態で発送するのであれば、それは出前と同じであり、現行の「幸楽」と大して変わらないから、商売としては「幸楽」よりも拡大するわけでもないし、わざわざインターネットで別の店を開く道理がない。焼き上げる直前までの状態を拵えて販売するのだとしても、消費の期限が延長するわけではないと思われるから、出前と大して変わらぬという条件を改善することはできないだろうし、逆に、客に手間をかけさせることになって逆効果だろう。一番よいのは、完全に調理したものを冷凍処理して電子レンジで温めるだけでよいようにしておくことだろうが、この場合、そのための経費が高く付くことだろう。