仮面ライダーオーズ第十三話

このところ休日出勤も残業もあって少なからず疲れているが、明日から二日間は漸く休めるので大いに救われる。
ところで。
東映仮面ライダーオーズ/OOO」。
第十三話「シャム猫とストレスと天才外科医」。
鴻上財団の隊長、後藤慎太郎(君嶋麻耶)の変装と境遇が余りにも面白くて殆ど影の主人公のようにさえ見えてきてしまった。
今回も鴻上財団の指揮系統から離れて単独行動で、ヤミーの源を突き止めるべく病院への潜入を敢行したが、そこでアンク(三浦涼介)と遭遇した。そもそも後藤慎太郎がその病院に狙いを定めることができたのは、火野映司(渡部秀)一行を追跡した結果だったわけだから、アンクと遭遇してしまうことは十分に予想されたことではあった。
この潜入に際して後藤慎太郎は全身を負傷したかのように偽装して松葉杖をついていた。両脚を包帯で巻いているのに松葉杖。対するアンクも、火野映司の潜入を成功させるため、同じような負傷者の扮装をさせられ、車椅子に乗せられていた。予て仲違いをする両名は潜入のことを忘れたかのように喧嘩を始めた。両名とも実際には怪我一つもしていないのに、どういうわけか本当に全身を負傷しているかのような不自由な姿勢、痛そうな動作で喧嘩を始めていたのが面白かった。
この喧嘩の過程でアンクが泉信吾(三浦涼介)の身体から逃亡したことが泉信吾を深刻な事態に至らせることになったわけだから、この喧嘩の場面には意外に重要な意味があったわけだが、たとえ重大な意味がなかったとしても十分に面白かった。
後藤慎太郎は潜入の敢行にあたって鴻上財団の業務を一つ放棄していた。鴻上財団の会長の秘書である里中エリカ(有末麻祐子)の一週間の休暇に伴い、「会長の世話」の用務を秘書に代わって隊長の彼が引き受けるよう命じられたが、「世界を守る」ためにしか働きたくない思いの彼は秘書の業務を部下の隊員(藤田慧)に任せた。この勝手な行動に、会長の鴻上光生(宇梶剛士)は大いに怒っていた。
しかるに「会長の世話」と云われていた業務の中身は実は会長が拵えた大量のケーキを試食すること。否、試食どころか平らげること。「世界を守る」どころかヤミー退治の戦闘と比較するまでもなく、余りにも馬鹿げた仕事。しかも後藤慎太郎に臨時の秘書が命じられたことを伝達に来たときの里中エリカは、彼の「世界を守る」という志を馬鹿にするように笑っていた。警察庁上級職出身の優等生の、冷たく美しく颯爽とした容姿の後藤慎太郎が、その若者らしい理想主義のゆえにか、鴻上財団内では意外に笑いものにされているかもしれないことや、馬鹿な作戦をも決行できる意外に熱い人物でもあることが描かれて、味わい深くもあった。