仮面ライダーオーズ第三十九話

東映仮面ライダーオーズ/OOO」。
第三十九話「悪夢と監視カメラとアンクの逆襲」。
後藤慎太郎(君嶋麻耶)は第二代の仮面ライダーバースとして鴻上財団から公式に認定された。まさしく新たなバースの誕生に他ならない。鴻上財団会長の鴻上光生(宇梶剛士)がこれを祝賀して特別に大きな誕生記念ケーキを拵えたのは云うまでもないが、さらには会長が自らピアノを弾きながら誕生を賀する米国の名歌「Happy Birthday to You」を歌って新バース誕生の目出度さを謳いあげた。
注目すべきは後藤慎太郎の服装も一新されたこと。戦士に相応しい活動性と、日本の夏の暑さに耐え得る身軽さとを兼ね備えた服装が、どこの美少年アンティノウスかと見紛う彼の美しさをますます際立たせる。
ところが、後藤慎太郎の「職」は変わっていなかった。あくまでも彼は会長秘書補佐。会長秘書の里中エリカ(有末麻祐子)の部下。鴻上光生はバースの戦闘には支援員が不可欠であることをよく認識していたが、支援員からバースへ転じた後藤慎太郎のために彼が選んだ新たな支援員は里中エリカ。ただでさえ後藤慎太郎よりも心身ともに強く、しかも後藤慎太郎の上司でもある里中エリカ。
爽やかにも強そうな服装に身を包んだ後藤慎太郎が、美しい顔に沈んだ表情を浮かべながら、会長から贈られた巨大なケーキを一人で食べていた寂しげな姿が印象深い。支援員でありながら上司でもある里中エリカの横着で横暴な態度に苛立ちながら彼はケーキの上の巨大プレートを噛んだが、驚くべきことにそのプレートはチョコレイトではなく煎餅だったと見受ける。鴻上光生のケーキ作りには意外に無茶苦茶な面があったと判る。
後藤慎太郎のバースへの変身は、流石に伊達明(岩永洋昭)の変身とは少し違っていて、かなり涼しげに恰好よかった。支援員が遅刻した所為で暫くは一人で奮闘していたが、いかにも忙しい動作の連続は彼の辛い立場をよく表していて一寸泣かせるものがあった。他方、無用な化粧と更衣のために遅刻して来た里中エリカも、戦闘の現場では一転して、本領を発揮した。しかし後藤慎太郎に孤軍の苦戦を強いておきながら、彼の危機のときに至って漸く現れて、己の格好よい見せ場だけを確保するとは、やはり非道い話だ。
何事もそんな感じでありながら里中エリカは後藤慎太郎とは既によいコンビネイションを築き上げていて、よい相棒同士であると云い張って憚らないのも凄い。しかし確かにそんな感じに見えた。後藤慎太郎には、強い男や強い女に振り回される姿が似合っている。