リバウンド最終話

日本テレビ系。水曜ドラマ「リバウンド」第十話=最終回。
今井太一(速水もこみち)と大場信子(相武紗季)が結ばれるだろうことはもちろん予想できていたが、前回から今回までの間に生じた両者間の最大の障害は、今井太一が東京において親から継いだケーキ店を守ろうとしているのに対し、大場信子が岐阜において親からトンカツ店を継ごうとしている点にあった。
しかるに大場信子は、今井太一と一緒にトンカツを用いたケーキを開発したことで、ケーキ店とトンカツ店とを一体化した新たな店を開けばよいのではないか!と思い付いた。
妙案のようだが、実は何の解決にもなっていない。なぜならケーキとトンカツを一体化させることはできても、東京にある店と岐阜にある店をそのまま一体化させることはできないからだ。しかも大場信子は、新たな店を東京で今井太一と一緒に開くことしか想定していなかったようで、岐阜にある店を東京へ移転するわけではないが、東京にある店を岐阜へ移転するわけもなく、岐阜のトンカツ店の廃業を決意したわけでもなかったらしい。何とかなる!と気楽に考えていたわけでさえもなく、むしろ何も考えていなかったに等しい。
大場信子の父の大場睦巳(石塚英彦)は、愛娘の提案する新たな店を「東京店」と呼んだ上で、「岐阜店は誰が継いでくれるの?」と訊ねたが、どうして誰かが継いでくれるはずだと思い込めたのだろうか。不可解だ。
この解決しようもない難問を解決してくれたのは風見研作(勝地涼)だった。彼は、大場信子との結婚を諦め、大場信子が東京で今井太一と一緒にトンカツとケーキの店を開くことを祝福した上で、あとに残った彼自身は大場信子の代わりに大場家のトンカツ店を受け継ぎたいと申し出てくれたのだ。
上手く話がまとまった…と云えなくもないが、余りにも大場信子に都合のよいだけの展開ではないか。風見研作みたいな変な人が身近にいてくれて、実に幸運だった!という結末では余りにも空しい。さらに三村瞳(栗山千明)と風見研作とが何となく良い雰囲気になったところを見ると、結局、彼等二人の人生はどこまでも、大場信子と今井太一の幸福という目的のための単なる手段でしかなかったのか?と思わずにはいられない。