仮面ライダーオーズ第四十話
東映「仮面ライダーオーズ/OOO」。
第四十話「支配と誕生会と消えるアンク」。
ロスト=アンク(飛田光里/声=入野自由)がアンク(三浦涼介)の不意を衝いて、その所有していたメダルの全てを奪取し、遂にアンクの完全体を獲得することに成功した。それは同時に、ロスト=アンクと対立していたアンクが消滅したということでもある。アンク消滅のあとには、今までアンクに身体を貸していた「刑事さん」こと泉信吾(三浦涼介)が残された。
この、突然の衝撃の事態に向けてあたかも心の準備をしようとしていたかのように、多国籍料理店クスクシエの人々は夜の河原でアンク=泉信吾の誕生を祝賀する小宴を開催した。ギターで奏でられた「Happy Birthday to You」が何とも感傷的にも抒情的に響いたのが、ここの場面を印象深くした。
夜を徹して歌い、踊り、そして語り合った火野映司(渡部秀)と泉比奈(高田里穂)とアンクが、夜明け前の、川の水面を眺めていたとき、鴻上財団の会長室では後藤慎太郎(君嶋麻耶)が、今回の敵である軍鶏ヤミーに何か動きがあるのではないかと待ち続けて、一人寂しく徹夜していた。室内の照明は消されていて、夜明け前の微かな光だけが窓から差し込んでいた。睡眠不足の所為で流石の後藤慎太郎も疲れた顔をしていた。
この場面の直後に少々不可解な(としか思えない)場面が来た。夜明け前の河原で火野映司が軍鶏ヤミーの餌が何であるかに気付いた瞬間には既に、軍鶏ヤミーの支配下にあった町内会長夫人の夫が町中に仕掛けた監視カメラは後藤慎太郎のカンドロイド群によって破壊され尽くしていたのだ。云い換えるなら、何をなすべきかに気付いたのは火野映司だったが、同じときに、なすべきことをなしていたのは後藤慎太郎だったのだ。二つの出来事は連関していないが、あたかも因果関係において連関しているかのように、順序よく配列されていた。不可解としか思えない。
後藤慎太郎のカンドロイド群を動かしたのは後藤慎太郎であると考えるのが自然であるし、カンドロイド群が行動を開始していたときには火野映司もアンクも河原にいたのである以上、実は後藤慎太郎も、軍鶏ヤミーの餌が何であるかに気付いたのだと考えるべきだろう。しかし後藤慎太郎のこの素晴らしく怜悧な姿は劇中に描かれなかった。ゆえに不可解な場面が出来した。
とはいえ後藤慎太郎の活躍は目覚ましく、見せ場が幾つもあって、殆ど常に颯爽としていた。
二度の戦闘においてオーズ=火野映司を後方から支援した姿はもちろん恰好よかったが、何よりもバースに変身する前後の流麗な動作が美しかった。バースの支援員であるはずの里中エリカ(有末麻祐子)に支援してもらえず悔しそうにしていた表情も魅力的だったが、里中エリカの強力な支援を得て大勝利を収めたあと、嬉しくて声をかけた里中エリカに反応してもらえず無愛想に去られてしまい、驚いていたところも面白かった。