ルイ14世の軍楽

明日の午後に予定されている仕事を無事に完了させれば、否、たとえ無事にではなくとも兎も角も完了させれば、一気に心身ともに身軽になりそうな気がする。それで今夏の仕事が全て片付くわけでもないが、多分、夏季休暇を取り得る程度の余裕は生じるのではないだろうか。
ところで。
昨日の夜、HMVから音楽CD三組が届いた。ガーディナー指揮イングリッシュ・バロック演奏のバッハ「ブランデンブルク協奏曲」全曲と、マリナー指揮アカデミー演奏のバッハ「フルート、オーボエとヴァイオリンのための協奏曲集」と、レーヌ指揮ラ・サンフォニー・デュ・マレ演奏のフィリドール編「ルイ14世のための行進曲、祝典曲と狩猟曲」とフランクール編「アルトワ伯の婚宴のためのサンフォニー」。
十七世紀フランスの宮廷音楽家アンドレ・フィリドール(c.1652-1730)の編纂した「ルイ14世のための行進曲、祝典曲と狩猟曲」には、「フランス行進曲」や「スペインのラ・フォリア舞曲」(王の連隊のための行進曲)、「ヴェルサイユのカノン」等も収録されているが、これらの作品はパイヤール室内管弦楽団の企画CD「空想の音楽会」の第五巻「ヴェルサイユ宮、大厩舎における野外音楽会」でも聴くことができるし、十八世紀フランスの宮廷音楽家フランソワ・フランクール(1698-1787)の編纂した管弦楽組曲集「アルトワ伯の婚宴のためのサンフォニー」もパイヤールの「空想の音楽会」の第二巻「ヴェルサイユ宮、鏡の間における王の饗宴」に収録されたものがある。
しかし一九六〇年代に録音されたパイヤールの解釈と一九九〇年代に録音されたレーヌの解釈とでは余りにも遠い隔たりがある。パイヤールの演奏が現代人の思い描くフランス古典主義精神に富んだ宮廷音楽の理想像の表現であるとすれば、レーヌの演奏したものはもっと荒々しく野蛮でさえあるフランスのバロックであると云えるかもしれない。